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異世界転移ボタンなのだ

頑張って書いていきます。よろしくお願いします。

「あなたは選ばれた勇者なのだ」


突然、コンビニ帰りの僕の目の前に現れたローブ姿の人はそう言った。


「・・・え?ゆ、勇者?なにがですか?」


「あなたは選ばれた勇者なのだ」


どうやらそれは大事な事のようで、2度繰り返された。


「いや、その、勇者ってなんですか?全然意味がわからないんですけど」


「あなたは選ばれた勇者なのです」


なのです。と言われても。新手の勧誘か何かだろうか?


「いや・・・。え・・・?あの・・・。警察とか呼びますよ?」


なにぶん物騒なこのご時勢だ。どんな事件に巻き込まれるかわかったもんじゃない。少し脅して帰っていただこう。


「今、私の住む世界は魔王からの侵略に脅かされているのだ!このままでは魔王に世界が滅ぼされてしまうのだ!」


突然大きな声で叫び出すローブの人。声からすると女性だろうか。魔王がどうとか言い始めて、だいぶヤバイ。しかし、この手の人はあまり刺激しない方がいいかもしれない。


何をするかわからないからだ。ここは少し、彼女の世界観に乗って話を聞いてみようと思う。


「・・・はぁ。魔王ですか。世界が。滅ぼされる。大変じゃないですか。」


「そう!大変なのだ!そこで、その世界を救う勇者となるのがあなたなのだ!」


語尾の『なのだ』がなんとなく気になり始めていた頃、彼女のボルテージはMAXに到達していた。


「私の住む世界を救うために、ぜひともあなたには勇者として一緒に来てほしいのだ!なにも、あなた1人で頑張れというわけではないのだ!優秀で可愛い女神の相棒も付けるので、ぜひとも頑張ってほしいのだ!」


優秀で可愛い女神・・・?ちょっと気になってきた。


「あの・・・女神さまというのは具体的にどんな感じで?例えば、例えばですけど、僕の事を優しく包み込んでくれる大人の女性で、その・・・性格は、ちょっと大胆ででもドジっ子で」


「そうなのだ!だいたいそんな感じの女神が一緒なのだ!」


なんだかかなり怪しいが、女神様の件が気になってきた。


「では、一緒に行くならこのボタンを押すのだ!なお、このボタンは後1分で無効になるのだ!もし無効になったら、女神様との異世界無双ライフは無かった事になり、あなたは平凡なサラリーマンとして生きて35歳の時に職場の同僚の借金を背負わされ事故で死ぬのだ!」


なんと世知辛い未来予想図。世界より魔王より僕の人生の方が大変なのではないか。


まぁ、よくわからないけど、ちょっと押してみるだけならなんて事ないだろう。


「わかりました。じゃあ押します!押しますよ!」


ポチっとな。


すると突然周りの景色がゆがみ始めた。薄れゆく意識の中、少しだけ後悔した。

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