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泡沫の夢、幻の未来  作者: 蚊取り線香
第十三章
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第十三章の1

井端いばた 水無みな

これが母からつけられた名かわからない。

物心ついたころには施設にいた。


その施設は表では国主導の孤児院とされていた。しかし、実際は実験施設。

モルモット等ではなく、人体。

臨床試験といえば聞こえはいい。だが、臨床試験にはインフォームド・コンセントがある。一つの医療行為の目的や方法、予想される結果や危険性の説明を聴き、理解した患者が自身の選択を以って、その医療行為を受けているのだ。


それに対して、ここの施設で行われる実験はインフォームド・コンセントがない。施設にいる子供が一定の年齢に達すると一方的に試験体にされる。拒否することはできない。


試験する薬品はもちろん超能力を身に着けさせる薬。


この頃の薬は成功する率が非常に悪く、9割近く失敗。また、成功しても副作用で何か障害が出ることも。


孤児院という名目に騙され、施設に多くの子供が集まり、その子供が実験の餌食になる姿は正に地獄絵図その物。そしてその地獄の被害者の内に私がいる。


実験体になるモノは、個人に割り振られた部屋へ朝早くに施設職員数名が突然上がり込んできて言い渡されることで決まる。


早朝に個人へ告げる形をとる理由はほかの子供に伝わるのを避けるため。他の子供は朝食を摂るために食堂へ集まった時に気付くのだ。

職員からは「昨晩、里親になりたい人がきて引き取った」と説明し、隠蔽しようとするが、情報は意図せず漏れるものだ。

実験体として知り合いが引き抜かれ、別れることを何度も経験した孤児院の子供は何も感じることなく聞き流す。


これは薄情なのではない。ここでは集団生活をするが、個人で誰かと深くかかわることはしない。他者とかかわると情が湧き、別れの際に心へ傷ができる。ならば、最初から知り合わない方が良い。

対応策を講じているから聞き流すことができている。


私が実験体として選ばれたときもきっとそうだったのだろう。これが私たちにとっての日常だったのだから。


すいません。

リアルが忙しくなります。

来週から週一投稿にさせてください。

落ち着いたころに火曜木曜更新を再開します。


次回投稿10/30

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