第十二章の6
麗化の忠告を受けてから1週間。遠山高校が立て直され、明日から登校することになった。この一週間、俺は第四課を公然と調べることはしていない。
分かってはいたが、見つからないように調べている限り、得られる情報は少なく、順調というには程遠い。進展なしの方が正しいと思えるほどだ。
そんな状況で元の生活へ戻るための準備を葉山壮でしているのだから、今後の調査の進捗も推して知るべしだな。
ここは地下研究所ではないのだ。第四課を調べるうえで依代さんが近くにいないため研究所並みの危険はないが、機関外への情報は限られているだけではなく、情報源の絶対数が少ない。
「図られたようにも思えるが。」
やはり、麗化に訊ねるのは時期早々だったか。麗化から依代さんへ俺が探りを入れていることが流れ、邪魔者を遠ざけるために登校する時期を早めさせたのかもしれない。
反省や後悔、いろいろあるが後の祭り。過去へ戻れないのだ。
「にしても、自宅は落ち着くな。」
賃貸ではあるもが実家並みの安心感がある。住めば都という言葉を実感する。人というのは不思議なものだ。
部屋も今の今まで使われていたような感じで無機質なあの部屋と比べて落ち着く。冷蔵庫に入れられているのも一新され、期限の切れたものもない。
「掃除もする必要もない。午後からどうしようか。」
食材や日用品等、消費するものを買う必要がないからな。
「これ、おかしくないか。」
トイレットペーパーとティッシュペーパー、サランラップは前から十分にあった。問題はその他、そして食材。
これらはどうもおかしい。納得できない。
気を使ってくれたのか。
研究所へ缶詰めになったのは、俺の意志ではなかった。そのため、それ相応の準備をしていなかった。作り置きしていたものも消費していなかったのだ。
これを考慮して一定の配慮をしてくれたのであれば、有難い限りだ。
しかし、必要最低限のことしかしてくれない奴らが部屋の掃除や日用品の買い足しをしてくれるだろうか。日用品の買い足しをするには俺の部屋に一度訪れリサーチする必要がある。手間でしかない。
もし配慮するとすれば、俺が戻る予定日に合わせて食材を輸送するくらいだろう。
誰かが俺の部屋に上がり込んできた線が有力だ。
非常に助かっているのは確かだが、断りなく上がり込みモノを触ったことは気がかりだ。何かなくなっている可能性があるし、何か仕掛けられているかもしれない。
午後の予定が決まったな。




