第二章の4
「さて、泥水をどうすべきか。」
精算を済ませ、帰路の途中で右手の袋を横目に思考を巡らせた。
宮の勧めで購入したがこいつをどう処理したものか。
安いで有名なナカガイで購入したと言っても金を払っている事には違いないのだ。口を付けずに捨てるのは気がひける。だが、飲みたくない。
この対立した気持ちに答えが見つからない。金を無駄にせず、且つ飲まずに処理する方法。「待てよ。」自分が飲もうと考えるから答えが出ないのだ。飲みたくなければ飲まなければいいのだ。盲点だった。
「他人を呼び止めておいて無視するのは如何なものかと。」
「そうだよな。」なぜ気づかなかったのだろう。今思えば簡単な答えだ。
「ひーくんそれは私に対して答えているですか。それとも思考途中で口から出たものですか。」
「おゎ!」水色がいきなり視界に入ってきた。
「冷菜か。」「気づいてなかったようですね。」
途中から俺についてきたのか。
「何か俺に用か?」
「いえ、貴方が私に声をかけたのです。用があるとすれば、寧ろあなたの方かと。」
「俺が冷菜に?」俺は泥水の事ばかり考えていたような。
「おおよそ予想はついてましたが。」
もしかしなくても、冷菜は呆れてる。感情の入っていない口調ではあるが、確実に呆れがある。
「そういえば、冷菜はどこ行く予定だった?」
「今思いついた質問ですね。」おっしゃる通りでございます。弁解の余地などございません。
好ましいとはとても言えないあの空気を入れ替えようとしたのだが無理なようだ。
「折角なので答えます。昼食を作ろうとしたのですが、冷蔵庫に食べ物がなかったので、今から食材を買いに行く予定です。」
「お心遣い感謝します。」落として上げる、飴と鞭をうまく使い分けてるじゃないですかヤダー。
俺が商店街へ向かう途中に出会ったのはそれが理由か。だとすると、俺にあったが為に買い物ができなかった、となる。悪い事をしたかもしれない。
「冷菜の言い方だと、昼はまだ食べていないようだな。」
「そうなります。」
「今から一緒に食うか?」「お金に余裕がないので遠慮します。」「提案者である俺が払うよ。」「遠慮します。」「ほら、学校のことも知りたいから、食事ついでに教えてくれないかな。」
ちょっとした口論だな。
不機嫌そうな雰囲気が冷菜がら感じられる。だが、これは受け入れてくれる時に出るものだ。
「ひーくんわかってませんね。もういいです。私は遠慮しましたから、何が起きても知りませんよ。」
「ありがとう。無理言って悪いな。」やはり、提案を受け入れてくれた。
冷菜の答え方だと、しぶしぶといったものか。だが、不本意ながらも提案を受け入れてくれるところが冷菜らしい。
「どこで食べるのですか。」「え、あ、はい。」しまった、その場の思いつきであったためどこで食べるか決めていない。
「まさかとは言いませんが。提案しておいて、どこに行くか考えていないとは言いませんよね。」
「すみません。考えてないです。」
「潔いですね。いつものことなので今更な気もするのですが。」
「本当に申し訳ないです。」
「では、ファミリーレストランで昼食をとりませんか。」
無難だな。この辺りにあるファミレスは「あそこか。」商店街近くしか無いんだよな。
ナカガイから葉山荘を目指して半分ほど歩いてきたのだが。また同じ道を行くのか。今まで歩いてきた道はなんだったのだろう。
振り返ること16年、俺、陽野 二式は何を目的として今までの人生という道を歩んで「二の足を踏んでいないで商店街へ行きましょう。」「いや、な、足を進めるのを躊躇してるわけではなくて、今までの人生をだな。」「知りません。」「はい。」




