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泡沫の夢、幻の未来  作者: 蚊取り線香
第十一章
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第十一章の11

「やっと解放されたかな。」


朝食にはもう遅く、席に着く人もまばらな頃。六人用の長机に手を広げて豪快に占拠し、倒れこむ女性。そして、対面の席でそれをあきれ顔で眺める男。


麗化れいかさん。ジェスチャーという言葉があるように全身で何かを表すのは意思疎通の面で見ればいい事だと思いますよ。」


「何か不満かな。」


そういうと目の前の女性、麗化がわざとらしく口をとがらせ、膨れている様子を表へ出す。


「ここは公共の場ですよ。他の人に迷惑です。」


「空席が1、2、3、4、5…」


机に頭を預けたまま、俺に聞こえるように数字をいう。こう暗示しているのだろう。席は十分にあると。


「わかりました。」


白旗を挙げたことに満足したのか頭を上げ、したり顔。それを見た俺は苦虫を噛み潰したような顔。実際はしない。しないが、心ではそんなものだ。顔に出せばさらに付け上がる。


可変かへん 麗化れいか。容量が良く仕事ができる。しかし、時に悪戯いたずらが入り周囲を困らせる。よく言えばムードメーカー。実際はトラブルメーカー。


聞くところによると、剛田の件があった以来、始末書やら何やらでてんやわんやであったらしい。わざとらしく机に突っ伏して疲れを表していたが、見せつけるものではなく事実かもしれない。


「まぁ、今回は学校の仕事を教頭に押し付け、お願いして、こっちの仕事を間に合わせたけど。これからのことを考えると人員不足かな。」


指を絡ませ大きく伸びをし、俺に話しても何も解決にならない事をぼやく。麗化は賢く頭もキレる。仕事人としてはかなりの高評価が得られるだろう。性格を除けばだが。

だが、優秀な人であることは変わらない。俺に話しても改善することは重々承知しているだろう。ただ不満を聞いてほしいのだ。この場合、俺に求められているのは意見することではない相手の苦労を受容し共感することだ。


利き手にとっては不平不満をぶつけられているだけでいい迷惑だが、麗化が持ってくる話は俺に関係することが多く、動向を知るにはもってこいなものだ。


それにしても、ただの教師が教頭に仕事を押し付けるという状況はいかがなものかと思いますよ。


「さて、スッキリしたし、戻ろうかな。」


一通り言い終えたのか、席を立つ。時間にして40分前後。長すぎることもなければ短いわけでもない、程よい会話時間。狙ってのことかは判断できないが、内容自体も簡潔にまとめられており、こちらとしても充実したものだった。


「そうそう。水無みなとそろそろ仲直りをしてくれないかな。ただでさえ人手が少ないのに、優秀な人材が力を発揮しないとつらいかな。」


充足感に浮かれていると水をかけられた。実際は掛けられていないが、水といっても過言ではないだろう。


「努力します。」


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