第十章の10
次回は6月12日です
「そうだ、二式君。」
観測結果を一通り見終えた依代さんが、自室に戻る際に言い残した。
「霜月 冷菜さんが僕の部屋にもうすぐ来る予定だったんだ。汗を流した後に来てね。」
霜月 冷菜。俺はこの思いもよらない名前が耳に入り返事ができなかった。
どうして冷菜がここに来るのだろう。あいつは能力者でもなければ関係者でもない。無関係な一般市民だ。
「どういう風の吹き回しだ。」
俺に近い存在である冷菜。巻き込まれる可能性は他の人と比べ高いだろう。だが、俺の知る限りでは直近の剛田だけだ。その一回だけでなるものなのか。
「だが、もし、もしもだ。」
シャワーを浴びているときにある一つの考えが頭をよぎる。
「やめてほしいものだがな。」
だが、ここ最近の俺の予想は嫌という程あたる。
そして、今回もその一つのようだ。
「本当にいいんだね。」
「もう、誤魔化されるのは嫌。」
「リストになるのは非常にリスクが高い。引き返すなら今だよ。」
「決意は固いようだね。じゃあ、ここに丸をして。」
依代さんに呼ばれたのは、立ち合いと冷菜の決意を聞かせるためだったようだな。
「した。これでひーくんの仲間。」
いつか見た同意書。しかし、この同意書に丸をしただけで仲間になるわけではない。
「受理したよ。じゃあ、隣の部屋に移ってね。リストになる薬を打つから。」
やはりな。薬を打てばリストになることができる。だが、薬には死の可能性があるのだ。そのことを忘れてはいけないのだ。




