第十章の7
「依代さん。迎えの仕方、何とかならないですか。」
今、俺がいるのは初めて依代さんと出会った場所だ。
案の定、この人たちの迎えは非常識で、俺の家に無断で上がり込んできた警察に連れてこられたのだ。
しかも、鍵が閉まっているにもかかわらず、だ。本当にこの人たちは悪い意味で期待を裏切らない。
「どこから外部に情報が洩れるかわからないからね。目隠しするのは仕方ない事なんだ。」
依代さんは、苦笑いをし、非常に申し訳なさそうに言っているのだが、俺が言っているのはそこではない。
「人の家に勝手に上がり込むのをやめてくださいよ。」
「それは僕が何とかできることではないな。」
「さようですか。」
「帰りに文句の一つでもいえば改善してくれるかもね。」
「そんなチャンス与えてくれないじゃないですか。」
「環君来てくれたみたいだね。」
依代さん。僕の声が聞こえませんでしたか。
「依代さん。ここに呼ばれるようなことしましたか。」
「先週のお酒の席でのことでね。」
「酔った勢いで失礼を働きましたか。すみません。」
ここにいる僕を差し置いて勝手に話を進めないでほしいですね。
「いきなり僕に抱き着いて、給料を増やせと。」
「申し訳ありませんでした。」
なんと。絡み酒ですか。
「酒の匂いがするおじさんに抱き着かれて。さらに甘えるような口ぶりでお金くださいと言われた僕の気持ち、考えてみて。」
駄目だ。想像したことを後悔する。酒臭い人に抱き着かれるだけなら、父さんで慣れている。だが、甘える口ぶりが駄目だ。胸が悪い。
「気持ち悪いことをしてしまい、すみませんでした。」
自分で気持ち悪い事、と言うんだな。
「そうだね。だから環君の月給から20万ほど引き下げ、でいいかな。」
20万…それ、給料残るのか。
「依代さん、お慈悲を。そこまで引かれると、生活ができなくなりますので。」
「じゃあ、10万で。」
「それ、給料の半分なくなります。できれば17万残るように。」
なるほど。給料は20万か。正確な金額ではないが、10万円引かれると17万残らないくらいであることは分かった。
「環君、慈悲はないよ。」
鬼だな。
おはようございます。
早速ですが、リアルの方が忙しくなります。
誠に勝手ではございますが、
火曜と木曜の更新を火曜のみの更新にしたいと思います。
つたない私の小説を読んでくださる心優しい方々、
申し訳ありませんがご理解いただけますと幸いです。
次回は「5月22日」でございます。




