第十章の4
どうも可変家の人と縁があるようだ。
可変 麗化
可変 華
そして、今回の
可変 逞
「まあいいかな、私は逞、可変 逞。よろしくね。」
非常に印象に残る人だった。
「麗化のあの性格は確実にあの人の影響だな。」
「私の性格がどうしたのかな。」
どうしてこの人は、こうも。神出鬼没なのかね。
「麗化さん。鍵をかけていたはずですよ。」
今俺がいるのは葉山荘の203号室。そう、俺が住んでいる部屋だ。
剛田の騒動の最中、他の生徒は体育館へ避難していたそうで、重傷者は出ずに済んだ。しかし、学校は壊された壁の補修やリストの情報を隠蔽工作などの対応でてんてこ舞い。そんな中での授業などできるわけがなく、学校は一時的に閉鎖、遠山高校の生徒と一部の先生は記憶処理された後に早退することとなった。
俺もその流れに合わせ下校したのだが、なぜか俺の部屋には麗化がいた。
「合鍵かな。」
知らないうちに人の部屋の鍵を造らないでもらいたい。
そういえば、井端さんも俺の家の鍵を持っていたような。この二人以外にも持っている人がいるのではないか。そう考えると恐怖だな。
「それはそうとして、敬称なしで名前を呼ぶとは偉くなったものかな。」
「何をおっしゃっているのか、私にはわかりませんね。」
「麗化の性格がどうのこうの、と言っていたかな。」
「記憶にございませんね。」
ニュースで聞いたこの言葉、便利だな。
「陽野 弐式。君にいいことを教えてあげようかな。」
これ見よがしに内ポケットから取り出したのはネイビーの色をした名刺ケース。25枚入るかどうかの大きさか。
「私たちのようなリスト関係者は、役職柄このようなものを常に携帯しているかな。」
ケースの主となるポケットから出てきたのは名刺ではなく黒色の機械。刹那、俺は井端さんとのあるやり取りを思い出す。俺はこの流れを知っている。
あの機械はボイスレコーダー。そして麗化が流そうとしているものはもちろん。
「麗化のあの性格は確実にあの人の影響だな。」そう、扉を開け部屋に入ろうとするときに口にした、口にしてしまった言葉だ。
「麗化様、申し訳ございませんでした。」
言質がある以上、弁解の余地などない。ただ俺は叫ぶように謝罪をするのみだった。




