第十章の2
「デジャヴかな。」
今、俺がいるのは部活棟裏。いつぞやのアクシデントを彷彿とさせる状況だ。
「鬼ごっこはもうおわりか。陽野 二式。」
俺は教室を出てすぐにここを目指して走った。俺の背中を見てか、剛田はまた声を張り上げ俺の名前を呼びながら追いかけてきた。
「保護観察を受けていた状態でなぜ暴れる。」
「そんなもの知るか。」
「保護観察がつけられている状態で暴れると直ぐに上層部に筒抜けだろ。」
「説教するつもりかよ。」
「そんなつもりで聞いたわけではない。ただ何が目的で暴れているのか知りたいだけ。」
「知らねえよ。ただ俺は、お前を殴れたらそれで充分だ。」
前回のことが相当頭にきているのか。今いる場所も悪いのかもしれないな。この場所で俺たちは一度争った。この風景を見ると、そのことを思い出させられるのかもしれない。
「急に殴り掛かるのは、どうかと思うぞ。」
充分だ、の言葉を言い終えるあたりだろうか。剛田はいきなり右手で拳を作り、俺に向けて振りかざしてきた。
「避けるな。」
避けるだろ。鉄筋コンクリートを拳で壊したんだぞ。そんなものを受けてみろよ。骨折じゃすまないだろ。
「死にたくない。」
左手も使ってくるのだな。まぁ当然か。
使える武器は使うのが普通だ。そして剛田の武器は両手。
「ちょこまかと。煩わしいな。」
足に注意してなかった。右足を払われ体勢が崩れる。右足に掛かっていた体重が行き場をなくし、右側へ倒れる。
今がチャンス、と言わんばかりに剛田は笑みを浮かべ、右手を勢いよく振りかざし俺の顔を殴りにかかる。
これは避けられない。何度目だろう、このように殺されかける状況。
「くそ、ここまでかよ。」
数回目の市の覚悟をしたとき、本来は勝利を確信した声が出るであろう人の声がした。
「視界が。」
声のする方へ眼を向けると。ふらつきながら右手で頭を押さえ、倒れないようにあらがう剛田がいた。




