第九章の10
午後。それは昼食を食べ、程よい眠気が襲ってくる時間だ。こうなると授業で話す先生の言葉は子守歌にしか思えなくなる。
先生も冒頭は寝ている生徒を起こすものの、中頃からは放置する。この日も変わらず、ただただ睡魔にあらがうだけの時間になると思っていた。
「あいつ、あいつを出せ。二式だ。いるんだろ。」
張り上げた声と破壊音。薄い板が割ったような軽いものではない。重々しく響き、地面に振動が伝わるほど。重機を使わなければ破壊できないものを壊したのだろう。しかし、エンジン音やキャタピラーの走行音もしない。代わりに聞こえたのは、前述した張り上げた声。持ち主は剛田か。
「かなり近いな。」
1つの教室を跨いだ先あたりか。
でかい音の後に細かいものが雨のように地面をたたく音。コンクリートの壁を壊した感じか。鉄筋コンクリートの壁をよく壊せたものだ。
現状の把握はできた。しかし、名前を叫ばないでほしい。クラスの幾人かが俺の方向を向いている。授業の開始時間と被ったところが質が悪い。
依代さんから聞いていたこともあり、心は比較的落ち着いている。しかし、この場合どう対応すればよいのか。幸いにも、この学校にはリストに関係する職員が多くいるため、ある程度の対応はしてくれる。
「だがどうすれば。」




