第九章の9
「朝から二人で登校かい。仲睦ましいようで。」
「お前が言うな。」
二人で登校している理由、知っているだろう。
教室の扉を開けると、待ち構えていたかのように腹の立つ笑顔があった。
「しかもそこ、俺の席だろ。もしかして、その言葉を言うために、ずっと待っていた訳ではないよな。」
廊下側の窓際、最後尾の席。教室に入ると直ぐに当たる席だ。俺らを待つために宮が座ったとしてもおかしくない。だが、つい最近、席替えを行ったばかりだ。可能性はゼロだろうが、席を間違えたのかもしれない。
「その通りだよ。」
阿呆なのか。宮よ、君は阿呆なのか。
「そんなことのために貴重な時間を使うなよ。」
「気になったんだけど。2人は待ち合わせして登校したの。」
「そう。」
おい、冷菜。お前は何を言っているのだ。朝から押しかけてきたのだろ。
「なるほど。嘘みたいだね。」
「違う、本当。」
「外野にいた霜月さんが、いきなり会話に割り込んだ。まるで陽野に応えてほしくないみたいにね。」
これ、冷菜が押されていないか。
「そんなことない。ひーくんの家で合流した。」
なるほど。厳密には違うが、表面上は事実。こうやって冷菜は嘘をついているのか。
「じゃあ陽野に聞いてみるよ。霜月さんの言っていることは本当かい。」
冷菜があんな嘘をついた理由がよく分かった。
「そうだ。俺が準備をしてる最中に呼び出し音が鳴った。」
どこで待ち合わせしたかを想像して話を合わせるより、俺の家に訪ねてきたことにした方が楽だ。
「了解。霜月さんが陽野の家に行ったことは事実なんだね。それがわかれば十分。」
こいつは本当に何がしたいんだ。
「朝のホームルームが始まる時間だし、僕は自分の席に戻るよ。」




