第九章の8
俺のもう一つの能力、か。全く想像できない。
相手の攻撃を避ける能力。考えつくのは運動神経を上げる能力だろう。
だが、そのようなものがあるのか。
「ひーくん、朝弱い方だった。」
「そこまで弱くない。」
「でも今日のひーくん、どこか上の空。」
学校の準備を終え、登校の道中に会話を交えていたのだが。俺の生返事が悪かったのか冷菜に心配させてしまったのか。
「すまんな、ちょっと考え事していて。」
「昨日のこと。」
「そうだな。」
「ひーくん嘘つき。昨日、本当は何があったんだ。」
謀られた。やっぱり冷菜には敵わないな。
「ひーくんが隠し事するの下手なだけ。」
心を読むの、やめてくれませんかね。
「じゃあ、ポーカーフェイスをできるようになって。」
「それほど顔に出ているのか。」
「全部顔に出てる。諦めるのが早いよ。」
「冷菜に隠し事するのはすでに諦めてるよ。」
「じゃあ、昨日のこと教えて。」
それは難しいな。俺自身の情報なら教えることはできる。しかし、能力者はどうだ。あれは国家機密。教えることはできない。
「昨日は説明通り、資料整理を手伝わされただけだよ。」
「嘘。個人情報とかを扱う学校がそんなことしない。」
さすが冷菜、痛いところを突く。だが、俺も掌で転がされるだけではない。この返しをしっかりと考えている。
「授業で使う荷物を運ぶだけだから大丈夫。」
「その答え、準備していた。」
なぜそのことを。さては心を読んだな。
「ひーくん。得意げに話したら誰でも気付く。」
本当に俺が隠すのが下手なのではないか。
「もういいよ。ひーくんのバカ。」




