第九章の3
最近思うことがある。なぜ面倒事はこうも重なってくるのかと。
それは、一日の授業をすべて終えた後のホームルームに訪れた。
「陽野君はこの後職員室に来るように。」
担任である、帯刀先生からの徴収命令だ。
なぜこうも先生方はホームルームで伝えるのだろうか。ホームルーム終了後にクラスメイトへ、呼び出された理由を適当にでっち上げて説明するこっちの身にもなってほしい。
職員室や、帯刀先生がいる図書室へ向かうことは結構だ。しかし、クラスメイトへの説明が非常に難しい。
能力者に関する情報は使うことはできないし、信じてもらえない。もし、自身が問題行動を取ったと説明すると交友関係に亀裂が入る可能性がある。交友関係へ影響がなく、また、相手が納得する理由を探すのが困難だ。
「ひーくん、私に何か隠してる。」
そして、冷菜のこの一言だ。
「いやいや、本当だからな。」
冷菜はかなり鋭く、俺の技量では冷菜を騙し通す事はとてもできない。
「先生方を待たしちゃいけないし、問い詰めるのは後にしておこうよ。」
宮、ありがとう。助かったよ。でもその言葉では問題を後回しにしただけだぞ。
「わかった。ひーくん、明日の朝一緒に登校しようね。」
女の子からの誘い、健全な男子なら喜ぶことだろうか。だが、話の流れから素直に喜べない。
「楽しみにしてるよ。」
心なしか俺の返事が震えている。
「じゃあ、僕たちは帰らせてもらうよ。」
俺の反応をみて満足したかのように宮は冷菜を連れて教室を出る。
「あいつ今朝のこと根に持っているのか。」
それほど、強く当たったのが効いたのか。それとも、バイト先への道のりが長くなってしまったのを他人事に捉えたのが悪いのか、労わってほしかったのか。
よくわからない。ただ、やり返されたことだけは理解した。
自分が蒔いた種だが、やり返されたのだ。もう一度仕返しをしてやろう。
なにせ、朝から冷菜に質問攻めされるのだ。あの冷菜からだぞ。
「骨折は駄目だな。擦り傷なら許されるか。それなら顔は避けなきゃな。」
「何を物騒なこと、言っているのかな。」
職員室へ向かう途中、後ろから声がした。語尾に、かな、をつける人は俺の知る限り一人しかいない。麗化だ。




