第八章の4
本当になんだよ、これ。あれからまったく進展がない。
龍の攻撃を避け続けているだけだ。
この状況を作り出した根源であり唯一の突破口と考えられる颯太は変わらず膝を抱えている。
一つだけ挙げるなら、あの龍は颯太には手を出さない。操作主であるのだから当然といえば当然なのだが、あの龍は上手に避けて俺を狙ってくる。
この一つを知るために何度あいつの攻撃をよけたことか。おかげで俺の服と靴は…
「水が。」
橋の車道が水没している。この橋、排水システムがうまく機能していないのか。
「これを使えば。」
しかし、いかにして麗化へ伝えるか。声を大にして言った場合、俺の策が失敗する可能性がある。能力が暴走しているとはいえ、本人の意思はある。策を知ると潜在的に対抗してくるかもしれない。
「行くしかないよな。」
小声で自身に言い聞かせる。龍の攻撃からよけている間に麗化のいる橋台と反対の橋台へ来てしまった。颯太から離れたため標的から外されたようだが、麗化のもとへいくとなると確実に標的となる。
「おい、早くいけ。殺してでも止めろ。」
「今考えているところなので、待ってください。」
この警察、思考の邪魔だな。いや、待てよ…
警察ならトランシーバーがあるよな。
「すみません、それでしてほしいことがあるのですが。」
「許可できない。これは複数人へ送られる。」
情報を公開しないためか。公園での件や学校の件、これだけのことが起きているのだから今更なような気がするのだが。そういえば、あれだけの事件があったのに騒がれていないな。
「わかりました。無理を言ったようですみません。」
面倒だな。このまま足踏みしていても仕方ないし行くか。
「来たな。」
さっきとは明らかに違う。奴の目が俺をとらえている。
敵と認識するのは距離だ。颯太へ近づく者を敵としている。
飛散させ続け手がなくなった、いびつな龍が俺をめがけて突進する。これには慣れた。この龍は猪突猛進、いきなり避けられると対応できないのだ。
「今のうちだ。」
目標をなくしてもなお突進を続ける龍を横目に、麗化の方へ走り抜ける。そして、行く手を阻むように横断している龍の体をスライディングで下をくぐり抜ける。
「麗化さん、お願いがあります。」




