第七章の3
「やあ、二式くん。突然時間を作ってもらうことになって、悪いね。」
「いえ、とんでも。」
それより、突然ガタイのいいおじさんに袋をかぶらせて、有無を言わさず連れていかれるのをやめてもらえないですかね。
「パイプ椅子に座って、座って。」
依代さんに促されるままパイプ椅子に座り、あたりを見回す。
改めて部屋を見ると、初めて入った時と比べ物にならないくらい掃除されて、本棚の本も内容で分けられ整理されている。
「コーヒーでも飲む?と、言いたいところだけど、コーヒーを淹れるためには給湯室へ行かないといけないんだよね。」
依代さんは車いすを使っている。そのため、給湯室へ行くためには十分な広さが必要だ。
しかし、依代さんとドアの間にパイプ椅子が置かれている。そして、その椅子に俺が座っているのだ。
簡単に言うと俺は依代さんが給湯室へ向かうための通路を塞いでいるのだ。
「えっと、道をふさいですみません。良ければ一緒に……」「呼ばれた気がするかな。」
どうやら俺に発言する権利はないらしい。
一緒に行きますか、と言うつもりだったのだが、空気を読まずに勢いよく入ってきた奴がいた。というか麗化だった。
最近、麗化の遭遇率が高い気がするが気のせいだろうか。
「麗化さん、学校の方は大丈夫なのかい?」
「校長をおだてて仕事の一部を任せたから大丈夫かな。コーヒーどうぞ。」
哀れ、校長。
この人、口車に乗せるのとか上手そうだからな。でも、学校の先生になるときには、担当する前から授業に参加する一面もあった。真面目なのか不真面目なのか、よくわからない人だな。
「コーヒーありがとう、麗華さん。ちょうど二式君に出そうと思っていたところなんだ。」
「できる女は違うかな。」
胸を張って言う事か。
「麗化さん、今日はどうしたのですか?俺と同じで依代さんに呼ばれたのですか?」
「どこかトゲを感じるかな。」
当然。逮捕協力で何度もお世話になったとはいえ、苦手意識はまだ健在ですよ。
「麗化さんは、二式君の担当をしている人だからね。」
俺と麗化の関係を感じ取ったのか、依代さんが質問に答えた。
「学校の仕事の関係とかもあるから、無理強いはしなかったんだけどね。」
それでも来たという事は、責任感はあるんだな。
「さて、二式君。麗化さんも来たことだし、本題に入ろっか。」




