第六章の3
だが、これしかない。
部室棟には使われていない部屋が2つある。
2階に1つと1階の正面右端。2階に上がる暇はない、一階の部室だ。
やはりな。
開き戸の扉は鍵が閉まっている。ドアノブ付近のところまである扉の大窓を見る限り部室内には人がいない。これなら大丈夫だ。
「鬼ごっこは終わりか?」
後ろからあいつの声。俺はその声に対して振り返りながら答える。
「鬼ごっこか、残念だが俺はケイドロ派だな。」
「お前の好み何かしらねぇよ。」
言葉と同時に殴りかかってくる。
思った通りだ。こいつは隙が多い。そして、腹部より上を顔を狙う。これならできる。
体勢を低くして横に良ければ。
ガラスの割れる音。
「てめぇ。」
「手を動かさない方がいいよ。下手すれば一生使えなくなる。」
したことは簡単だ。俺は剛田の拳を避けただけ。ただ俺の背中には部室の扉があった、しかも大窓つきだ。
簡潔に言うと、剛田は部室扉の窓を突き破った。そして、扉に残ったガラスで剛田は突き出した手を動かせない。
「先生を呼んでくるから、そのまま安静にしておけよ。」
正直こんなにスムーズにできるとは思わなかった。苛立っていたのか、単細胞なのか、それはわからない。だが、結果的に良かった。
俺はこの後、麗化に剛田のことを伝え、剛田が救急車に乗せられ病院へ送られるのを見送った。
麗化がこの後に控える始末書の事で頭を抱えてたが、俺は知らん、帰らせてもらう。




