第四章の4
「広すぎだろ。」
エレベーターの扉を背中に右手側にある扉を開くとそこには、学校の体育館なんか比にならないほどの広さを誇る部屋があった。
「東京ドーム一個分に相当する広さはあったような。」
環さん、東京ドームの広さは約4万6700平方メートルもあるんですよ。もうそれ体育館というレベルを超えてないませんか?
「鉄筋コンクリート造り。床や天井、壁といった露出した部分は全て不燃性の素材。俺の様に火を使うリストがいるからね。」
「コントロール系の能力と言っていましたよね。その系統の能力を見たことがないので、特徴等をご教授いただければと。」
肉体強化は逮捕協力、諜報系は俺自身、コントロール系は井端さんがいる。しかし、井端さんが能力を使ったところは見たことがない。
「特徴か……百聞は一見に如かず、見せた方が早いね。」
そう言って右手を腰あたりに近づけていく。
「あ、寝るとき邪魔だったからタバコ置いてきたんだった。ちょっと取りに行ってくるから待っててね。」
「依代さんが言ってた自由奔放って、こういうところを言ってたのかな。」でも、言うほどのことじゃない気もする。
しばらくして環さんが帰ってきた。ジャージに着替えて。
「ごめんごめん、待たせた?タバコ探してたら埃被っちゃてさ、シャワー浴びてきた。」
よく見ると髪の毛に少し水滴が残っていたり、元から短くて目立たなかった顎の髭がなくなっていたりする。シャワーを浴びていたのは確かな様だ。
自由奔放はこれを言ってたのですね。疑ってすみません、依代さん。
「でも、これで二式君に見せる事ができるよ。」
俺に見せつける様に右手で出した物はライター。
「今からタバコを吸うんですか?」
「そんな事しないよ。それに俺、タバコ吸った事ないし。」
「じゃあ、なんで持ってるんですか?」
「言ったじゃん、火を使うって。俺の能力にはライターが必要なんだよ。タバコはライターを持ってても不自然に思われないため。」
無計画に作られたとしか思えないこの体育館を説明していたときに、火を使うとか何とか、言ってた気がする。
「もういいや、じゃあ能力を使うから離れてね、火傷するから。」
環さんに言われるまま距離をとる。
「そのくらい離れていれば十分だな。はじめるよ。まず最初にコントロール系の能力は操るモノがなければならない。その元となるのがこれ、オイルライター。このライターの火を蛇の様に細長くすることができる。」
オイルライターを点火すると小さかった火が瞬く間に伸び、親指ほどの太さで1メートル弱の火柱になる。
「このまま剣として使う事もできるけど、垂れさせて鞭の様に使う事もできる。こっちの方が俺は使いやすいかな。」
天井に向かっていた火が重力に従って地につく。
「こうやって鞭の状態で振って能力を途中で切り、分散させて火を飛ばす事もできるからね。能力のオン、オフを応用させた使い方かな。物質を燃やしてないからすぐに消えるけど。」
鞭を振り上げ、紐状になっている火が全て宙に上がったところでいきなり飛散する。環さんは火を飛ばすと言っているが大きな塊はない。火の粉を宙に漂わしているが正しいだろう。
「コントロール系は本当に操るだけ。モノ自体の特性を変える事はできない。だからこの火は物を燃やすだけで、剣の様に斬る事も盾にして攻撃を受け止める事もできない。そして、能力で火を強めることや燃料なしで火を維持する事もできない。」
「できない事多いですね。」
「結論を言うと。コントロール系は、操れるモノが豊富にある場所では最強だけど、それ以外では戦力外。」
「操れるものが豊富、ですか。」
「俺で例えるなら、一番恵まれた戦場は火事現場だね。そんなところで戦ったら共倒れになるから絶対にしないけど。」
環さんは返答に困る冗談を言ってくるな。わかりやすい例えではあったけども。
「これで、コントロール系の能力についての説明は終わり。何か質問とかある?」
「今のところありません。ありがとうございました。」
「じゃあ、次は能力の使い方について教えていくよ。」
「よろしくお願いします。」




