第四章の1
麗化に言われるままパトカーに乗り込むと、いきなり袋を被され連行された。視界を阻まれ連れられ着いた場所は散らかった部屋。目の前には30代から40代前半あたりと思われる眼鏡をかけた車椅子の男性。
「いやぁ、すまないね。いきなりこんなところに連れてこられて驚いたよね。僕の名前は依代 学よろしくお願いするよ。」
「よろしくお願いします。で、ここはどこですか?」
左側に天井に届くほどの高さの本棚や打ちっ放しの地面に無造作に積み上げられた本があり、本来6畳ありそうな部屋が4畳ぐらいにまで狭くなっている。出口は俺の後ろにあるが、俺と扉を阻むように左斜め後方で麗化が立っているため出るに出られない。
「この施設は地下研究所。ここは取締役である僕専用の部屋。地下研究所がどこに所在しているかは国家機密だから言えないけど、他のことなら説明するよ。まあ、立ち話もなんだし、そこに立てかけてあるパイプ椅子に座りなよ。」
彼の指さした先は出口付近。確かに左の壁、俺から見て麗化を跨いだ先の壁に1脚だけ立てかけられている。
麗化にお願いし、手渡してもらう。
「本当に片目だけの変色なんだね。この報告書によると、能力はまだ不明か。」
彼の左手側の机に置かれていたタブレットを手に取り、見ながらいう。
「えっ!麗化さん、二式くんは自分の能力すら知らない状態で逮捕協力をしたのかい!」
「なんだ、いつものことじゃないか。」
驚きを隠せない依代さんに対して落ち着いた声で返す。
「政府も怖ろしいことをするね。よく無事に帰ってきたと思うよ。」
「そこは私の機転の効いた作戦かな。」
今、自然に嘘をつかなかったか。
「主任の格は伊達じゃないと言いたいんだね。」
「実力を認められて得た役だから当然かな。」
「で、二式くん、麗化さんの言い分は本当かい?」
「信じてくれないかな。」
この2人の話にあまり入りたくない、というのが本心であるため笑ってごまかす。
「ほら、二式くんが違うと言ってるよ。」
「何も言ってないかな。それに学に対して違うと言っているのかもしれないよ。」
どっちでもいいよ。早く話を進めてくれ。
「あー、ごめんごめん。そんなにイライラしないで、話を進めるからさ。」
俺の苛立ちを察したのか依代さんが言う。
「二式くんは今回の逮捕協力をしても自分の能力はわからなかったんだよね。」
「はい。」
後ろの麗化さんはまだ納得いっていない様で両腕を組み、右足のつま先を上下に動かして怒りを表している。だが、話を進めてくれるのことが先だ。だから無視する。
「難しいな。特に黄色はね、赤や青の様に目に見える様な能力じゃないから、分かりにくいんだよ。」
成る程。力が強くなる赤なら筋力検査で判断できるし、青なら……コントロールってなんだ?見たことないからわからないが、依代さんが言うに黄色より判断しやすいのだろう。
「逮捕協力の時のことを思い出してくれるかな?そこに二式くんの能力を決定づけるものがあるかもしれない。」
依代さんの意見も一理ある。能力を使わずに逮捕したというのも無きにしも非ずだが、どちらにしても試すべきだろう。




