第三章の5
何かないか。あいつの能力を決定付ける手掛かりが。
「腹ぁ殴ってダウンさせようと思ったが、チョッキ着てるなら仕方ねーな。次、顔を行くぞ。」
殺害予告だな。あんな勢いで顔を殴られたら確実に死ぬ。
最初の一撃の時、あいつはいきなり距離を縮めることができた。逃げようとしてもすぐ追いつかれるだろう。
ならば、することは1つ。避ける。
もし避けるなら周囲に何もないところがいいだろう。相手から目を離さず、一定の距離を保ちながら左斜め前に移動する。
遊具と植木の中間あたりで立ち止まり、目を凝らす。
「いいねぇ、その目。」
相手の挑発に乗るな。相手の動きを見るんだ。
左脚を前、右脚を後ろにさげ、右腕少し上げながら脚に力を込める。
ここだ。怪我を覚悟で左へ、遊具の方面へ飛び込む。
視界は黄色がかった砂、このまま行くと擦り傷をするが死ぬよりはずっといい。
腕一本が縦に入りそうだった地面との距離は次第に縮まりやがて0になる。現実では数秒のことだろうが、俺には長く感じた。
どうなった。身体の所々に痛みがあるが、今は結果だ。
慌てて態勢を立て直し、確認する。
俺が立っていた場所にあいつの姿がない。代わりに視界を横切るように砂塵が舞っている。
砂塵を上げた理由を探るため近寄ると、地面が一直線に削られていた。
一線の始まりはおそらくあいつが立っていた場所、そしてその終わりには
「驚いた。避けられたのは初めてだぞ。」
高笑いが、いや男がいる。
初めは真っ直ぐ飛ばされたから、垂直に見ることができず気づかなかったのか。
だが、今はそんな事どうでもいい。
大きな収穫ができたんだ。これで奴の能力が予想できる。




