第三章の2
どうしてこうなった。
俺が今いる場所は住宅街から少し離れた公園。
滑り台やロッククライミング等を組み合わせた大型の複合遊具が中心に設置されてた公園で、道路と公園を隔てるように植木がなされている。そのため、遊具で遊ぶ以外に新緑を楽しむ事もできる。
難を挙げるとすれば複合遊具があまりにも大きいため、植木と遊具の間隔が狭く、キャッチボールに向いていない事だろう。
植木と遊具の間隔が狭い事以外は完璧な公園が無料で開放されているのだから休日は子どもで溢れている。
しかし、今ある光景はそんな微笑ましいものでない。
植木は荒らされ、ベンチは縦に割れている。複合遊具は塗装が剥げ、一気に老朽化したような印象だ。
笑顔あふれる公園を豹変させた当人は目の前の男。
俺は今、この男を捕まえなければならないらしい。
事の発端は数時間前、俺と井端さんで遅めの朝食をしていた時にさかのぼる。
あの時の朝食はシリアル食品と俺が買った冷た〜いお茶。
ややミスマッチのような気がするがこれは関係ない。
本来はこの食事を使いリストについて教えてもらうつもりだったのだが、この予定を狂わすことが起きた。
「協力要請が来たかな。」
いつも何かしら起こす女性。そう、麗化だ。
麗化が玄関扉を力強く開いて入ってきたのだ。
「内容はこれかな。」
わざわざ着替えたのか、スーツ姿の麗化が食卓に上がり込み、手に持っていた用紙を俺の目の前に叩きつけたのだが、用紙の中央に麗化の手があり、文字が隠れていたため俺は書かれていることを読んでいない。
「要約すると遠山公園で超能力者が暴れてるから捕まえに行けということかな。」
そう、麗化の口から伝えられたのだ。
結局自分で言うのかよ、というツッコミも入れたいような気もしたが、簡潔に言ってくれたためここは我慢した。
しかし
「現地へ行くための迎えなら呼んでるかな。もうすぐ来ると思うよ。」
俺の意思を確認せず話を進めていたのである。
そして
「失礼します。」
麗化が玄関側を見ると狙っていたかのように野太い声をした警察官が駆けつけてきた。
その警察官は図体が大きく険しい顔で頼りになりそうな人で一瞬味方が来たのかと期待をしたが
「この男性を運び出せばよろしいのでしょうか。」
俺が座っていることを確認すると麗化の方に向き直って言った。要は勝手に期待をして裏切られたのだ。
「よろしく頼むよ。」
麗化の一言で男は動き出し、俺に近づいてきた。
「ちょっ、え、おろしてください。」
ガタイの良さは伊達でなく、抵抗する俺を軽々と持ち上げて肩で担いぎパトカーに乗せられた。
警察官の言葉通りに俺は運び出されて今に至る。
無理やり連れだされた俺が今言いたいことはただ一つ。
「逃げ出したい。」




