第十三章の3
冷菜の機嫌を取るために必死に謝りながら蹴りをカバーする俺はいつの間にか目立っていたようだ。
最初こそ謝る俺の声は小さかったが、次第に冷菜の蹴りと蹴りの間合いが短くなり、それにつられて声を抑える余裕がなくなっていた。
そうなれば当然、周りのいる人へ俺たちのやり取りが耳に届く。
だから、何故、謝罪の言葉を何度も言っているのか周囲も気になったのだろう。
だが、これは好都合。最初のやり取りを知らない人から見れば、俺は謝っているのに何度も蹴られている哀れな男。きっと誰かが仲介、または俺を庇ってくれるはずだ。
そう。俺が助けを求める目を向ければ。
だが、俺の期待は裏切られたようだ。
視線の先にあるのは呆れ顔や微笑ましいものを見る目。誰も助けにくるような気配を出していない。宮とその取り巻きもだ。
だが、宮はすぐに何か察したらしく、俺にウインクをする。
そして、取り巻きに申し訳なさそうに何か言い、教室を後にする。
ここで俺は気付いた。俺たちのもめ事が使われたと。そして、宮を助けるために俺たちがわざと起こしたと宮が勘違いしていると。
ウインクはお礼のつもりか。宮からウインクをもらってもうれしくないのだが。
後で何か奢ってもらう形でお礼をもらおう。ウインクで不快な気持ちになったのだから、高めのものを要求しても罰は当たらないだろう
「ひーくん私も便乗する。」
心を読まれたな。
そういや冷菜にご飯を奢って財布が空になったことあったような気がするな。宮が同じ轍を踏むことが無いよう注意しておくか。敢えて注意せず絶望を味わうようにさせるか。
「ひーくん悪い顔してるよ。」
悪巧みをしているのが顔に出ていたようだ。
「お礼をどうしようか考えてた。」
「ご飯を奢ってもらうのが無難かと。」
やはり心を読んでいたようだな。「お礼」としか言っていないのに話が通じている。
そして、ご飯を奢るとなると宮の財布の中がサヨナラするな。
「ひーくんの時みたいにはしないよ。」
差別だ。
「区別です。」
「どうして心を。」
「読んでない。ひーくんが思うであろうことを予想しているだけ。」
人はそれを未来予知という。
「だから時には間違っているかもしれない。」
「俺が記憶している中では外れたことが無いのだが。」
「それはひーくんがわかりやすいだけ。」
そうですか。
休み。休みが欲しい。
次回は12/4です。
年末が近づいでくる~
掃除したくない。。。




