失神
ファイルを脇に抱え、我孫子を後について行く。
エレベーターに乗り最上階の10階に行く様だ。途中、エレベーターの明かりが何度か点滅し小さな揺れが何度も続いた。
5年前に出来たと言っていたがその割にはボロ過ぎる気が…
10階でエレベーターが大きく振動し動きが止まり、扉が開く。降りると目の前に鉄製の扉が現れた。
扉の左側には鍵穴と指紋認証用の液晶パネルがある。
我孫子が腰に付けていた鍵の1つを鍵穴に差し、人指し指をグッとパネルに押し当てるとガチャンと音がしその後「ブー」っとブザー音が聞こえ、扉がゆっくり開いた。恐る恐る中に入ると右手に牢屋がある。
ここに来て初めて見る牢屋だったけど、テレビでよく見るタイプの牢屋だった。中には少女が4人座ってこちらをじっと見ている。その中の一人に白鳥の姿もあった。
牢の前に紙くずの様な物が落ちている。僕は気になって牢に近付き紙くずを拾おうとしたその時だった。
気付いたら僕の手首は掴まれ牢の中に右手を肘まで引きずり込まれていた。
引き抜こうにも四人がかりで引っ張られては、男の僕の力でも無理だった。
「何してるんだっ!」
我孫子が助けに駆け寄った瞬間に、僕の目の前には針金が突き立てられていた。
「やっやめてくれ!」
震えながら僕はそんな事を言うしかなかった…眼球を針金で突かれたら…
我孫子はそんな状況を気にもせず僕の左手をグイグイと引っ張っている。
「やっやめてくれ…」
僕は失禁して失神した。