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んーと?
ジャックと会ったんだっけ? で次は練習か。
(2章)
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ジャックと名乗った男は自負するだけあってなかなかの使い手だった。〈陣どり〉と呼ばれる魔術陣の
代替をする歩法や〈結印魔術〉の印を組み入れた剣さばきは実戦的だ。魔力総量の方も、ほぼ無尽な音羽には劣るものの宮廷魔術師と同等と、申し分ない。
トワたちは契約後すぐに王宮の訓練場で始めて、4時間ほどジャックから手ほどきを受けている。
「―――そこは左を2回だね。」
「こう…っすか」
「うん、イイ感じだよ。これなら〈一角狼〉も殺れるね。」
「ほんとかなぁ。2人はどう思う?」
「コイツを認めるのは癪ですが、今日中にCは確実だと思います。」
「トワ様の動き次第では、私たち3人で5匹は狩れるかと」
教師としてのはたらきもなかなかなようで音羽はの動きも実に様になっている。無論、音羽の勇者としてのスペックあってこその早さではあろうがアリアの言葉が事実なら驚異的なスピードだ。そして彼女はよほどのことがない限り世辞も方便も使わないのだ。
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"ガキン―――"
金属同士がぶつかるような音を立てて〈一角狼〉の鋭い角が音羽の両手剣を受け返す。それを気に留めず音羽は剣で十字をきり、音を放つ。
「[シ・ソーン・ハガル]ッ行け!」
剣の軌跡が氷の矢じりのようになり〈一角狼〉を穿つ。ダメ押しに首をはねると仲間と同じように地に沈む。いや、一面血だまりなのだから”血に沈む”が正しいのかもしれない。
果たしてアリアの予測は正しかった。暮れなずむ森には5つの死骸、剣で魔法で討たれて3人の周りに凝るがっている。プロが2人いるとはいえ素晴らしい戦果である。ただ―――
「あー、死ぬかと思った。」
「ええ、最初の気の抜きようでは死んでいらしたでしょう。」
「アリアっ。なんてことをいうんだ! 素晴らしかったですよ2匹も…」
「あぁカミオだけ、1匹だもんな、しとめたの。」
「一応ランクB以上のはずですが…?」
「っつーー…。はぁ、とりあえず角を取りましょう。証明部位ですから。」
「んー。おっし、わかった。」
「いつまでしゃべっているんですか ―ガリガリッ、ボキ、ブシュッ― 日が、暮れますよ?」
―――戦闘の後で気が立っているのかいつにもまして辛辣なアリアと、初めての命のやり取りに気が抜けたようで配慮のかけらもない音羽に挟まれたカミオがどうしようもないほど哀れであった。
音羽 弱くね?
そしてアリアさんこわっ。コレ返り血浴びてるパティーンだろ。
カミオはたよりねえし、ジャックは仲間になるかわかんねェしダイジョブなのかな?今後の展開・・・