民の知る伝説【The legend for people】
英語に意味はありません。
というか、文法的にあってすらいません。たぶん
おや、また来て下さったのですか。
実に嬉しい限りです。
さて、今回はどんなモノガタリをご紹介いたしましょうか…。
「 」
『 ? 』
ああ、それですか。
おや? 他の皆様はご存じない。
では、コレにいたしましょう。
モノガタリの中心となるのは異界の青年。勇者たるべく召喚された彼とその仲間たちが世界の危機に立ち向かい魔王を退けるまでを描いた、オモテの伝承にございます。
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『封魔の勇者』
世界に平穏がもたらされ〈シュベリエ王国〉が始まってから幾百年、世界は再び災厄に見舞われようとしていた。王国の遥か北、〈ロミューラ山脈〉のその向こう、大陸の端に突如として現れたそれは”魔王”と名乗ったという。
彼の者は魔物を操り、ときには魔族すら従えて人を滅ぼさんとしていたが、それを予見し阻止した者たちがいた。
その最たる者が”封魔の勇者”クォーン・トワである。彼は、その予言の力を以て魔王のもたらす災厄を識ったシュベリエ王国第三王女、即ち、”予言の巫女”の発動させた【救済の儀式陣】によってこの世界を召喚された。彼は勇者たるに相応しく、心優しく勇敢な青年だった。
”予言の巫女”の願いを聞いた彼は、彼にとっては本来、縁も所縁もない異界であるこの地の民に降りかかるである災厄に胸を痛め、憤った。そして、魔王を倒すことを約束し、王の定めた仲間と共に旅だった。
彼らは、道すがら多くの魔物を倒し、多くの人々を救った。あるときには、領主に化けて領民を虐げていた魔族の正体を看破し、眷族諸共討ち滅ぼした。このとき共闘した義賊のリーダーが仲間になった。またあるときには、邪竜の贄にされた娘を邪竜を倒すことで助けた。このときは娘の姉であった魔術師が力を貸そうと申し出た。そうして、彼らは北へ北へと進んでいった。
〈ロミューラ山脈〉に近づくにつれ魔物は手強くなり数も増えていった。怪我は絶えなかったが、互いに信頼し合い、勇者たちは数々の危機を切り抜けた。そしてついに魔王の元へと至る。
「お前はこの世界と何ら関係ないはずだ。何故、我の途を阻む?」魔王は勇者に問いかけた。
勇者は答えた「最初は関係なかった。でも、喚ばれた以上役目を果たしたいと思った。それに……それに今は守りたい仲間が、友が、笑顔があるんだ!」と。
「笑わせるなッ!そんな体で何が守れるというのだ!!」勇者たちは連戦により既に満身創痍だったのだ。しかし魔王が慈悲の心をもつわけもなく、その禍々しい魔力の塊を勇者たちへ放つ。流石その程度にやられはしないものの勇者たちは明らかな劣勢だった。一人倒れ、二人倒れ、ついには勇者と魔術師の二人。
がしかし、諦めなかった。死力を尽くし、力を合わせ立ち向かう。そして――――
「グアアアァァァーーー」勇者の剣が魔王を貫き、魔力を封じられた魔王は永久の眠りに着く。
倒れた仲間も回復し、勇者と共に王城へ凱旋した。
王都が、王国が、大陸中が歓喜に満ち満ちて勇者たちを迎えた。喜びの中勇者は”予言の巫女”と結ばれ末長く幸せに暮らした。
その後も勇者は国王に仕え王国を護り続け、後に『封魔の勇者』として語り継がれてゆくのだ。
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いかがでしたか?
「 」
え?ええ、はい。
”予言の巫女”は勇者について行ってはいませんよ。
―――ふむ、別の文献によれば勇者の無事をずっと祈っていたようですね。
結婚は唐突に感じられますが、褒美としては順当でございましょう? 英雄と国・王家とのつながりは往々にしてそういう形に成らざるおえないのです。
では、今回はこの辺りで・・・