09:魔王様と愉快な仲間たち
魔王様がこちらにいらっしゃってから、ひと月。
魔王様も、こちらの生活にずいぶん馴染まれたようでございます。初めのうちは、我々に敬語で話されていたのに、今ではすっかりタメ口で寛いだご様子。
そう。何度も"敬語はおやめください"と申し上げても、しばらくはどこか余所余所しくて。そんなお姿に、我々も少々寂しい思いをしていたものです。
「魔王の片腕。名前はまだ無い」
「いやありますよ。フォルカーでございます。初めにお会いしたときに、申し上げましたでしょう」
「髪も目もダークグレー。彫が深くて鼻が高くて・・・西洋人っぽい顔つきだね。肌の色はいいかんじにこげ色」
「なんですか、こげ色って。褐色ですよ褐色」
「真っ黒のローブで全身を覆っているので暑苦しい」
「暑苦しいとはなんです!」
「夏なのにありえない」
「カーッ!」
「ローブの隙間からチラ見えする服は、やっぱり黒。どう考えても暑苦しい」
「魔王様!あんまりです!」
「身長は180?190?とりあえずデカイ。切れ長の目が怜悧な印象を与えているが、ただそれは口を閉じてるときのみ有効。黙っていればイケメンでしょう。初めて会ったとき、うっかりときめいてしまったあの時の自分を取り合えずぶん殴りたい」
「・・・魔王様(しくしく)」
「そしてよく泣く」
「(しくしく)」
「ところで、いつも側にいてナレーターをしている、もう一匹の・・・柴犬?まめ?」
「魔王様の護衛でございます。ちなみに私は魔獣です」
「うっそだー柴犬だよー日本ではそう言う!」
「(コホン)魔王様。この者の愛らしい姿に惑わされてはなりません。この者は元は玉座の間の番人をしておりました、トップクラスの実力を持つ魔獣でございます」
「名を、ケルベロスと申します」
「首、ひとつだけど?」
「ふたつも三つもあったら恐ろしいでしょう。何を仰っているのです」
「(あれ?ここって魔物の巣窟だよね?)」
「私の真の姿の方は、おそらく魔王様がご想像なさっているような、魔獣らしい姿かと」
「お!それは仮の姿なの!見てみたいねー真の姿!」
「お望みとあれば」
「やたー!」
BON☆
「ただおっきくなっただけじゃん!」
魔王様のご期待に添えなかったようです。