06:魔王様と履歴書 留学編
魔王様の書かれた履歴書は、異国・・・いえ、異世界の文字の為、私には読むことができません。
しかしそこに書かれているものを聞いていると、どうやら魔王様は他国に留学経験がおありだとか。
なるほど。博識なのも頷けます。
さすがは我らの魔王様。その勤勉ぶりに頭が下がる思いでございます。
「魔王様。"あめりか"とやらには、どのようなモンスターが生息しているのでしょうか?」
「(モンスターって)そうだな~」
「(わくわく)」
「私が知っているのは、クモの糸を自由に操れるクモ男とか、暗黒面に身を委ねて闇の力を振るっていた黒ずくめの男とか、夜の街中を飛び回るコウモリ男・・・とか?」
「おお。すばらしい!異世界のモンスターも、日々人間どもに恐怖を与えているのですね」
「あー・・・うん」
「いやはや、すばらしいことです。実は私も、少々留学経験がございまして」
「え?アメリカに?」
「いいえ。私は異世界に行けませんので」
「じゃあどこ?この大陸に他の国なんてないよね?(私がキング・オブ・魔族なくらいだし)」
「実は、人間どもの国でございます」
「へー(人間嫌いなのに)」
「敵情視察もかねて、人間どもの暮らしを体験してきたのですが、これがまた酷いのなんのって」
「はあ・・・」
「私、魔石の加工には少々自信がありますので、その技術を生かしてアクセサリーの加工をしていたのですが、なぜか人間の女どもがこぞって職場に押しかけてきまして」
「はあ・・・」
「私が作業をしている間も、売り子をしている時も、常につきまとって甲高い声で話しかけてくるのです」
「・・・」
「それだけならまだしも、ある時などいきなり眠り薬で眠らされて、その間に屋敷の一室に監禁されたこともありました」
「いや、それって私の片腕としてどうなの?」
「私にとって人間どもの屋敷から脱出するなど朝飯前でございますから、その時はすぐさまこちらに戻ってきましたが」
「一服盛られたくせに」
「まったく恐ろしい所でございます、人間どもの世界というものは」
「ていうか留学って言わないじゃん」
チャララ~ン!魔王様のツッコミレベルがあがった。