29:魔王様とお客様
突然ですが、勇者が遊びに来ました。
以前、勇者(男)と魔術師(男)と僧侶(女)の三人だけでやってきた、あの一行でございます。
今回は勇者と魔術師の二人だけのようでございます。
勇者の方を、名はジークフリート。魔術師はショーンと名乗っておりました。
「今日はよく来てくれた!魔王就任後、初めてのお客様だよ!」
「魔王様!勇者を魔王城に招くとは、いったいど―――」
「(無視)いや~あれからひと月も音沙汰なしだったから、もう来てくれないのかと思ってた!」
「・・・おい。無視してよかったのか?あの男、まだ何か言ってるぞ?」
「ああ、いいの。気にしないで。"魔大陸の小姑”の異名を持つ男だから、小言が多いの」
「まをうさまぁぁ!カーッ!」
「・・・(小姑)」
「(魔物が小姑って)」
「さあ召し上がれ!二人のために、がんばって作ったんだよ!」
「魔王が!?まさか毒入りか!!?」
「おう!死ぬほど美味いぞ!(エヘン)」
「あー・・・ジーク様。たぶん、疑うだけ無駄だと思いますよ」
「・・・何故だ。この魔王に、魔王としての常識は当てはまらないのか?(脱力)」
「フツウ、そこは毒入りがきますよね?」
「フツウはな」
「さあさあ!いっぱい食べてね!」
心中複雑な勇者共でしたが、ちゃっかりおかわりをしていました。