28:魔王様と魔法の訓練
ここ数日で、すっかり魔法の鏡を使いこなせるようになられた魔王様が、他の魔法も使ってみたいと仰られました。
現在、魔法研究家のフェンリルが、魔法について魔王様にお教えしているところでございます。
彼は私のおよそ3倍の体長で、銀色の毛並みを持つ狼でございます。
「魔法を使うには、強く念じることが大切だ」
「フェンリル。お前、魔王様に対してその口の利き方はなんだ。無礼にもほどがあるぞ。喰い殺されたいか」
「まあまあ、ケロ。私は気にしないよ」
「だそうだ、ケルベロス。部外者は引っ込んでろ。シッシッ」
「・・・」
「で、どこまで話したかな?―――そうそう。たとえば魔法で火をおこす場合、どのような形状で、どのくらいの規模の火をおこすか、頭の中で完成予想図を描くんだ」
「完成予想図か!なるほど!じゃあ《いでよ炎》!」
「って、えぇぇ!?(いきなり!)」
「さすがは魔王様・・・」
「やたー!出た出た!まさにゲームみたいな火炎魔法!」
「失礼致します、魔王様。魔法について学ばれているとのことでしたので、魔石をお持ち―――」
「うぁぁ!フォルカー様に飛び火したー!」
「フォルカー様!フードが燃えております!」
「まをうさまぁぁ!カーッ!」
屋内での訓練は、二度と行いません。