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15:魔王様と勇者 暴君編
―――ごちゃごちゃ考えるのはやめだ!いくぜヤロウども!!
と、男気溢れる号令で颯爽と執務室を出ようとなさる魔王様。
はたして私がお仕えしている方は、女なのか男なのか。
慌てて魔王様をお止めしようと、フォルカー様がお声をあげました。
「お待ちください魔王様!」
「そこをどけ、フォルカー!」
「いいえ。そのご命令は承伏できません」
「余がどけと言っておる!」
「いいえ!致しかねます!」
お二人とも、妙な小芝居がかかっているような気がしないでもないですが・・・。
とにもかくにも。魔王様は扉の前に立ちふさがっているフォルカー様を睨み付け、威圧するように一歩近づかれました。
「魔王様!勇者がどこにいるかご存知ないでしょう!?」
「アイヤー!」
「迷子になるのが目に見えているのに、お通しするわけにはいきません!」
主と上司の様子に、一抹の不安を覚えました。
なんだかんだで、もう15話。
はやいものです。
アイヤー