第5話 魔力で繋がる絆
朝の光が庭園を照らし、竜の国は穏やかな輝きに包まれていた。
リリアはすっかりアシュレインに抱きかかえられることに慣れており、腕の中で安心して景色を眺めていた。
遠くには色とりどりの竜たちが舞い、湖の水面にその姿が映る。
「リリアよ、今日は小竜たちとの親和性を試す試練だ」
金色の髪を光らせ、低く優しい声でアシュレインは囁く。
「恐れることはない。我が番は我が守る」
庭園の広場には小さな竜たちが集められていた。
まだ言葉を話せない小竜たちは、跳ねたり首を傾げたりしながらリリアを見つめる。
「リリア様、掌の魔力で意思を伝え、小竜たちの反応を確かめてください」
淡い紫髪のセリナが優しく指示する。
リリアは緊張しながらも掌に淡い金の光を灯す。
最初、驚いた小竜たちは跳ね回ったが、リリアの光と表情を伝えるうちに、少しずつ彼女の意思を感じ取り、静かに見守るようになった。
「や……やった、少し通じた……」
リリアの顔がほころぶ。
アシュレインは抱きかかえたまま微笑み、彼女の額に優しく触れる。
「我のリリアよ……やはり、我の番としての素質は確かだ」
その様子を見て、青い瞳のユウが思わず口を挟む。
「陛下……また抱き上げてますけど、もう大丈夫ですよ!」
銀髪のセリオンは冷静に眉をひそめ、リリアと小竜の動きを観察。
黒髪のカイは端正な顔立ちで少し安堵し、庭園全体を見守る。
淡い紫髪のセリナは微笑み、リリアに安心感を与えつつ守護者としての役割を全うする。
リリアは抱きかかえられたまま、小竜たちの反応に微笑み返す。
竜の国で、自分が少しずつ居場所を見つけていることを実感し、胸が温かくなる――。
「……アシュレイン様、ありがとう」
小さな声で囁くリリアに、アシュレインは金色の瞳で優しく応える。
「我のリリア……我が守る」
庭園には、穏やかで少しコミカルな家臣たちのやり取りと、リリアとアシュレインの絆が、静かに、しかし確かに息づいていた。




