第4話 竜の国の日常と守護者たち
朝の光が湖に反射し、竜の国は穏やかな輝きに包まれていた。
リリアはまだ少し夢見心地で、アシュレインに抱きかかえられながら広い庭園を進む。
空には色とりどりの竜たちが舞い、遠くからは小川のせせらぎが聞こえる。
湖は透き通り、水面には竜たちの姿が映る。
遠くにそびえる白い塔や珍しい花や樹木が生える庭園は、人間の世界では伝説とされる景色そのものだった。
「陛下……またリリア様を高く抱き上げて……」
銀髪の家臣セリオンが眉をひそめて小声で注意する。
「陛下、リリアさんを落とさないでくださいよ!」
青い瞳の家臣ユウが、少し子供っぽくお茶目にツッコミを入れる。
淡い紫の髪のセリナは、優しい瞳でリリアを見守る。
世話役兼守護者として、リリアの安心感をそっと支えている。
黒髪の家臣カイは端正な顔立ちで庭の奥を警戒しつつ、アシュレインの溺愛ぶりに軽く眉をひそめる。
「我のリリアに危険はない」
金色の髪を揺らし、低く優しい声でアシュレインは答える。
リリアは少し戸惑いながらも、安心して腕の中に体を預ける――。
庭園を進むたび、竜たちが水面を跳ねたり、翼を広げて日光を浴びたりする。
「ここでは、人間の世界で伝説とされる竜たちが、本当に暮らしているんだ……」
リリアは心の中でつぶやき、胸が高鳴る。
アシュレインはその胸の高鳴りを感じ取り、そっと額に触れる。
「我のリリアよ……今日も我が守る」
リリアは戸惑いながらも、家臣たちの存在と竜王の腕に包まれる感覚に、少しずつ心を開いていく――。




