第3話 竜の国と守護者たち
リリアはまだ夢のような気分で、アシュレインに導かれながら宮殿の大広間を抜けた。
黄金の光に包まれた建物の外に足を踏み出すと、目の前には想像を超える景色が広がっていた。
空は広く澄み渡り、緑や青、銀や金の竜たちが自由に舞い、まるで宝石が空を飛ぶかのようだ。
湖は透き通り、水面には竜たちの姿が映る。
遠くには光を反射する白い塔や、珍しい花や樹木が生える庭園が見え、人間の国では伝説とされる場所だと納得できる景色だった。
「こ……ここが……竜の国……」
リリアは息を呑む。胸の奥が高鳴る。
肩にそっと手を置いたアシュレインは、金色の髪を揺らしながら微笑む。
「恐れるな。ここが我の世界だ。我がお前を守る」
その周囲には家臣たちが自然に控えている。
淡い紫の長い髪を後ろでゆるく編みまとめたセリナは、優しい紫の瞳でリリアを見つめる。
「リリア様、緊張しなくて大丈夫です」
世話役兼守り役として、リリアの安心感と守護感を漂わせている。
銀髪の家臣セリオンは長剣を軽く抱え、冷静な瞳で空や庭を見渡す。
「陛下……今日も甘すぎます……」
控えめな声だが、その落ち着きがリリアの心を少し和らげる。
黒髪の家臣カイは端正な顔立ちで警戒を怠らず、陛下の溺愛に軽く眉をひそめつつ、周囲の安全を確認する。
青い瞳の家臣ユウは少し子供っぽくお茶目な雰囲気で、アシュレインの行動に小さなツッコミを入れる。
「陛下……またリリアさんを抱きしめて……」
アシュレインはリリアを抱き寄せ、金色の髪を撫でながら低く囁く。
「我のリリアに触れるなよ」
リリアは戸惑いながらも、セリナやセリオン、カイやユウの穏やかな視線に励まされ、少しずつ心を開いていく――。
竜たちが空を舞い、湖や庭の光景が輝く中、リリアはこの世界に生きる不思議さと、竜王の胸に抱かれる安堵感を同時に味わっていた。




