第16話 戦いのあと、絆の光
竜の国の空は、透き通った青に戻っていた。
湖面には、まだ光の余韻が揺らめき、戦いの激しさを静かに物語る。
リリアは小さく息を整え、腕を広げて深呼吸する。
「……終わったんですね、アシュレイン様」
金色の髪を風になびかせ、炎の余熱で温かくなった空気の中、アシュレインは静かに立っていた。
「……ああ、だが、戦いはお前と皆のおかげだ」
金の瞳が優しくリリアを見下ろす。
リリアは頬を少し赤らめながらも、自然と微笑む。
「……私、自分の光で皆を守れたんです。怖かったけど、諦めなくてよかった」
アシュレインは頷き、そっとリリアの手を取る。
「お前の力は、本当に頼もしい。これからも共に戦おう」
湖畔のそばには、家臣たちが集まっていた。
セリナは微笑みながらリリアに深く一礼する。
「リリア様、無事で何よりです。皆で支えあえましたね」
ユウは少し照れくさそうに、でも真剣な目で言う。
「リリアさん、よくやった。君の光で皆救われたんだ」
セリオンも空中から舞い降り、軽く手を振る。
「無事で何よりだ。我らも力を尽くした。これからもよろしくな」
リリアは家臣たちを見渡し、胸の奥が温かくなるのを感じた。
「皆、本当にありがとう……!」
アシュレインはそっとリリアを抱き寄せ、微笑む。
「これからも、共に歩もう。リリア」
リリアは恥ずかしさと安堵が入り混じった笑顔で頷く。
「はい、アシュレイン様……ずっと一緒に」
湖面に映る二人と家臣たちの影は、光と絆に包まれて揺れる。
戦いのあとに訪れた、静かで確かな平和――
竜の国は、再び守られたのであった。




