第15話 光と炎の最終決戦
竜の国の空には、まだ黒い霧の残滓が漂う。
中心には邪悪な魔力が渦巻き、竜たちの目を曇らせていた。
「残りの黒い霧を浄化しないと、国は完全に安全にならない」
アシュレインの声が低く響く。金色の髪が光を反射し、鋭い瞳に決意が宿る。
リリアは掌に光を宿し、息を整える。
「……アシュレイン様、私やってみせます」
セリナは剣を抜き、鋭く振りかざす。ユウは魔法陣を描き、セリオンは空中から竜を抑え込む。
「リリア様、皆で守ります。安心して力を出してください」
黒い霧の中心に立つリリア。光が眩しく輝き、湖面に反射する。
リリアは光の矢を次々と放ち、霧竜を正確に貫く。
光の波を周囲に広げ、霧を押し戻す。
光の盾で家臣たちを守り、掌から渦を作り、黒い霧を集中・浄化していく。
「皆、力を貸して!この光で霧を断つの!」
リリアは精霊に願う
アシュレインは炎をまとい、地上で戦闘態勢を取る。
黒い霧の竜が次々と襲いかかるが、竜王の炎と尾攻撃で蹴散らす。
火球を放ち、尾を振り、蹴り一発で竜を地面に叩きつける。
「リリア、光をさらに強く!」
家臣たちも力を合わせ、セリナが切り込み、ユウが魔法で封じ、セリオンが空中から縛る。
黒い霧の中心で最後の魔力が抵抗するが、リリアの光とアシュレインの炎が呼応し、完全浄化。
霧が晴れると、竜たちの瞳が本来の輝きを取り戻す。
一匹の竜が低く頭を下げ、静かに告げる。
「竜王アシュレイン……我らは黒い霧に操られておりました
ふがいないばかりでございます」
アシュレインは静かに頷き、金色の瞳が優しく光る。
「謝る必要はない。お前たちは操られていただけだ」
他の竜たちも次々に頭を垂れる。
「我らの忠誠は永遠にあなた様と番様に」
リリアは光の渦の中で微笑む。
竜たちは羽を広げ、空に向かって力強く舞う。
戦いの混乱から立ち戻り、竜王と番、そして国を守る決意を新たにした瞬間だった。
湖畔に静寂が戻り、家臣たちは肩を並べて深く息を吐く。
「皆で戦えたから、ここまで来られましたね」
リリアの言葉に、セリナもユウもセリオンも微笑む。
光と炎、そして竜たちの羽ばたき――
竜の国は、再び平和と絆で包まれたのだった。




