第14話 黒い霧の竜と光の翼
湖畔に朝の光が差し込む。
遠くの空に黒い影――黒い霧に覆われた竜の群れが、竜の国に迫っていた。
その目は光を失い、意思を奪われている。
「……あれは黒い霧に操られた竜です」
セリオンが低く声を落とす。
「強力な魔力によって理性を奪われ、暴走しています」
アシュレインの金の瞳が鋭く光る。
「黒い霧は邪悪な力の象徴。竜を操り、国に侵入させる。今日は戦いと試練の両方だ」
リリアはしっかりと立ち、掌に光を宿す。
「……わかりました、アシュレイン様!」
セリナが剣を握り、ユウは魔法陣を描き、セリオンは空から飛びかかる竜を制御する。
「リリア様を守りつつ、皆で戦います」
それぞれの視線には決意が宿る。
黒い霧の竜が咆哮と共に襲いかかる。
リリアは光を前方に放ち、霧を切り裂く。
光が竜たちを包み、ゆらりと揺れる黒い霧が少しずつ浄化されていく。
「私も……皆と一緒に戦えます、アシュレイン様!」
その瞬間、アシュレインが翼を広げて空中へ跳躍する。
金色の髪が太陽に輝き、筋肉が躍動する。
黒い霧の竜が次々と襲いかかる中、竜王の力が炸裂する。
尾を振り、地面を裂くほどの風圧を生み出し、巨大な火球を吐きながら黒い霧を焼き尽くす。
竜たちの攻撃を瞬時に読み、飛び回りながら光の刃で霧を斬る。
「リリア!気をつけろ!」
リリアの光と呼応し、空間に光の波が広がる。
セリナは剣を振り、黒い霧を断ち切る。
ユウは魔法で霧を封じ、セリオンは空中から竜を制御する。
戦場は光と黒い霧、金と銀の閃光に包まれ、竜の国は緊張と躍動に満ちる。
リリアが光をさらに増幅させると、アシュレインが後方から光の矢を次々と放ち、黒い霧の中心を貫く。
竜たちは徐々に目を取り戻し、霧の魔力から解放される。
湖畔には静けさと光が戻り、家臣たちもほっと息をつく。
アシュレインは湖面を見つめ、静かに告げる。
「よくやった、リリア」
リリアは光の力と仲間との絆を胸に刻み、深く息を吐く。
「皆と一緒なら、どんな困難も乗り越えられます、アシュレイン様」




