表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜王の番に選ばれて  作者: はるさんた


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/18

第9話 揺らぐ光、竜の影


薄暮の竜の国。

黄金の塔が空を裂くように聳え、雲間から淡い光が差す。

リリアは湖畔で昨日の試練を思い返していた。

手のひらに残る微かな光が、彼女自身の成長の証のように感じられる。


「リリア様、少し異変が――」

セリナの声が背後から響く。

焦る様子でリリアのもとに駆けつけたのだ


湖の向こう、塔の影が揺れ、薄い黒い霧が立ち込めた。

アシュレインはすぐにリリアの前に現れ、金色の瞳が鋭く光る。

「我がリリア、危険が近い――離れろ!」


しかしリリアはその腕を振り払い、しっかりと立った。

「私は……今度は、守られるだけじゃない!私も戦う!」


風が巻き、湖面がざわめき、黒い霧が迫る。

精霊の言葉が胸に響く――


「もしも闇がその光を覆う時が来たなら――そのときは、我が力を貸そう」




リリアは掌の光を高く掲げ、精霊の加護を借りるように光を増幅させる。

小竜たちもその光に触れ、ぴかりと羽ばたいた。


アシュレインは翼を広げ、光と霧の間に立つ。

その姿は威厳と愛で満ち、空気が震えるほどだ。

「我が番……我が光よ!共に立て!」


光と闇がぶつかり合い、湖畔の空に光の輪が生まれる。

リリアは恐怖を超え、精霊の力を感じながら前へ進む。

その姿にアシュレインは誇らしげに微笑む。


「……さすが、我がリリア。恐れることはない」


闇の霧は光に押され、少しずつ退き始める。

精霊の声が微かに響く。


「よくやった光の子よ。だが、これはまだ始まりに過ぎぬ」




リリアは胸の中で強く頷く。


「はい……もう、逃げません」




アシュレインは彼女を抱き上げ、翼を広げる。

「共に空を翔ぼう。我が光よ」


空に舞う二人の影が、竜の国に黄金の光を落とした。

その輝きは、まるで伝説の序章のようだった。


湖畔では、セリナが小竜たちを静かに見守り、ユウとセリオンも影から目を光らせていた。

家臣たちの沈黙の中に、彼らの責任感と忠誠が漂う。

その静謐さは、竜の国に新たな黄金の時間を刻んでいた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ