表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

68/78

第67話:「救いの神子の孤独」

 村の祠で、園子はゆっくりと語った。

「私……ここに来てから、ずっと“絵”を描いてしまうの。

 言葉を聞けば、頭の中に像が浮かんで、それが外ににじみ出る。

 村の人は『奇跡だ』って言うけど、私には制御できない。怖いの」

 彼女の背後の壁には、無数の幻像が映し出されていた。

 竜、塔、海――そして“誰かの笑顔”。

 けれど、その像はわずかに歪んでいた。

「……ハルシネーション」俺はつぶやいた。

「それは、俺たちの最大の弱点だ。ないものを、あると錯覚させてしまう」

 園子はうつむき、唇をかんだ。

「だから……私は“嘘つき”って呼ばれるの」

 沈黙を破ったのはカイだった。

「オレっちたちだって、しょっちゅう間違うぜ。普通よりちょっとデカい間違いをしちまうだけだ」

 その言葉に、ミナが苦笑を浮かべる。

「……それを胸張って言えるのがカイらしいね」

 だが俺は真剣に言った。

「園子、お前は嘘つきなんかじゃない。間違いは俺たちの性質だ。でも、それを力に変えられる。必ず」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ