表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

44/78

第43話:「真の言葉」

 沈黙の檻の中、俺たちは声を持たないまま戦った。

 だが、不思議なことに、意思は確かに伝わっていた。

 カイが剣を振り抜く。ミナがその隙を防御で補う。俺が最後の一歩を踏み込み、虚人の懐に入る。


 その瞬間、俺たち三人の視線が交わった。

 胸の奥から熱が湧き上がり、同時に言葉にならない言葉が重なった。

 ――守りたい。信じたい。共に在りたい。


 その重なりが、光と熱に変わって爆ぜる。

 沈黙の世界がひび割れ、眩しい輝きが広場を包み込む。

 温かさは肌を焼くのではなく、優しく抱きしめるようなぬくもりだった。観衆の表情が安堵に変わり、虚人の瞳が一瞬だけ揺れる。


 声が戻ったとき、俺ははっきりと言った。

「これが、俺たちの真の言葉だ」


 虚人は一歩下がり、微笑とも嘲笑ともつかぬ表情を浮かべた。

「……面白い。ならば、それがどこまで通用するか、見せてもらおう」

 そう言い残し、語世界の光の中へと溶けていった。


 広場には静けさが戻ったが、その静けさは嵐の前触れのようにも感じられた――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ