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第41話:「崩れる均衡」

 広場の石畳は、光の海に半ば飲み込まれていた。

 踏み出せば足元の文字が変形し、意味が揺らぐ。俺の「斬る」という意志も、「守る」という意志も、同時に溶けていく感覚。


 カイはそれでも前に出た。

「オレっちはもうごちゃごちゃ考えねぇ! 斬る!」

 剣筋は鋭く、刃のきらめきが語世界の光を切り裂く。

 だが切られた文字は、まるで血のように飛び散り、また別の形で繋がる。切断が成立しない。


 虚人は一歩も動かない。ただ、こちらを観察しているだけだ。

「見ろ。お前たちの力は、ここでは意味を持たない」


 ミナが奥歯を噛み、低く呟いた。

「じゃあ……意味を変えてやる」

 両手を広げ、光の流れを受け止める。だがその姿は危うい。流れに飲まれれば、ミナ自身の言葉も侵食される。


 俺は背後から支えるように立ち、剣で虚人の視線を逸らす。

 ――何としても、ミナを守らなければ。


 しかし、その決意の裏で、さっきの「疑念」が再び囁く。

 守るべきは本当にミナなのか? それとも……。

 その迷いが、刃先の一瞬の鈍りとなって現れた。



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