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第37話:「裂け目」

 フードの人物は自らを「語詐師ごさし」と名乗った。

「私は嘘を語る者。だが、それはお前たちが信じる“真実”を揺るがすためだ」


 語詐師が指先をひと振りすると、床に亀裂が走り、裂け目から黒い靄が立ち上った。その靄がカイの足元にまとわりつき、身体の輪郭を曖昧にしていく。


「チッ、こいつ……精神を侵食してやがる!」

 カイが剣を抜くが、刃先が靄を裂いても手応えがない。

 ミナは必死に言葉の魔法を紡ぐが、声が出た瞬間に意味がねじ曲げられ、敵の言葉に塗り潰されていく。


 俺も詠唱を試みたが、頭の中に疑念が渦巻き、単語の意味が霞んでいく。

(……本当に俺たちは正しいのか?)

 胸の奥に生まれたその一瞬の迷いを、語詐師は逃さなかった。

「見ろ、仲間の目も信じられなくなってきたではないか」


 その言葉通り、ミナとカイの間に小さな溝が生まれていくのを、俺は感じていた。



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