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第33話:「心の裂け目」
否定の陣は、外側からだけでなく、内側からも攻めてきた。
俺の胸の奥に、静かな疑念が芽生える。
――俺たちの言葉、本当に正しいのか?
それは、自分の意志というよりも、外部から注ぎ込まれた感情のようだった。
ミナが珍しく声を荒げた。
「ボクたちは……間違ってない!」
その声は確かに強く響いたが、虚人は薄く笑っただけだ。
「では証明してみせろ。君たちの“正しさ”を」
裂け目は連携にも影響を与える。呼吸が合わない。タイミングがわずかにずれる。
俺が虚人の攻撃を避けた瞬間、カイの動線とぶつかりそうになる。カイが一瞬よろめき、ミナが防御を張ろうとしたが、俺の位置とずれていた。
そのわずかな乱れを、虚人は逃さない。否定の刃が、間合いを破壊していく。




