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HELP!

筆者の独り言

LET IT BEで 『私は女の子にもてたらなあ~~』とまあ男ならみんな持っている願望がある。ここでは女性に誘惑されるという設定で、描いてみた。自分自身がペンを走らせて、この物語に入りこんでいく。私の小説の書き方は自分の願望を好き勝手に書き、その願望に相手はこう答えてくれたらいいなあ~~とこれも好き勝手に書く。そのあと・・・じゃあどうする?と考える。そのあと私はどうしよう・・・・よくよく考えると

『二人の女性に愛されてもなにもいいことはない。』

という結論に至った。そのとき下記のようなフレーズが浮かんだ。


家につくと、さっきかすかに残っていた快楽の余韻はなくなり、私を支配するのは罪悪感と自己嫌悪だけになった。

志摩と過ちを犯して家に帰って来た時のセリフだ。自分で言うのもなんだが、筆者はここが気に入っている。実はレットイットビーでこの物語は終わらせようと思ったのだが、過ちは罪、罪は償うべきだ・・・このままでは終われない。どうしたらこの過ちをつぐなえるのか・・・・をテーマに続編を書き始める。

どうしよう?助けて!というわけで引き続き、 HELP ! をお読みください。

HELP ! ・・・・① 結婚するって


あれから3か月の月日が流れた。

 お店は急成長をしていき2店舗ともに売り上げを伸ばしていった。店長の手腕は素晴らしくフランチャイズの2つのお店の業績から、親会社の社長から注目されていった。親会社の社長は従業員である私と石田に注目し、社長自らが私に会いに来て店長のことを色々聞かれたりもした。私は社長に「私の尊敬する人は店長です。」と自信をもってお答えした。それがあって会社の機関紙に「部下に慕われるフランチャイズオーナー」という記事で大々的に掲載された。それが反響をよび店長は業界では知らない人はいないと言われるほどの人となった。


 それほどの人物なのに全く偉ぶったところを見せないのが店長のいいところだ。相変わらず生まれたばかりの赤ちゃんを抱っこする親ばか丸出しのお父さんだった。

このところ私と佐和子との間の会話は店長夫婦の話が多い。             「俺たちもあんな夫婦になれたらいいよね。」                        「それって、プロポーズ?」                                    そういうふうにとれるか……私は慌てて何を言っているのかわからなくなる。    「まあ・・・まだ学生だし・・・もちろんそういうつもりはあるよ。つまりさ・・・おれたちが成長したのは店長のおかげだし。尊敬しているということ。」

私の慌てるさまを見て佐和子はニコニコ笑いながら、                   「私は、奥様を含めて店長夫婦を尊敬しています。奥様の素晴らしいところわかる?」       「仕事ができるし・・・きれいだし・・・」                             「奥様は私たちと同じように店長を尊敬しているのよ。夫婦って愛だけじゃないような気がする。心から尊敬しあえること。」

「なるほど、佐和ちゃんは俺を尊敬できる?」                        「もうちょっとかな・・・(笑)」                                    私と佐和子はこんな感じで少しずつ愛を温めあっている。

一方、石田と志摩ちゃんの愛は急速に加速している。今まで知らなかったが、保育士志望の志摩はピアノの名手だった。石田の影響でビートルズに傾聴した。もともと音楽センス抜群だった彼女はすぐにビートルズをコピーした。店長のお子様お誕生パーティーの席上で2人がビートルズのレット イット ビーをピアノとギターで演奏した。プロの演奏かと思うくらいの素晴らしさだった。

「あのふたり、仕事以外の音楽でも互いを尊敬しあっている。素敵だわ。」       佐和子は絶賛して拍手をした。あれからふたりは同棲しているらしい。         「ねえねえ・・・聞いた?専門学校の石田君と短大の志摩ちゃんはあと一年で卒業でしょ?来年2人は完全にこの会社の社員になるみたいよ。」

「そこまで?」

「店長に言ったらしいよ。2人は・・・結婚するって・・・」                   「うそ??」                                              こういう情報は鈍感な私は最後に耳にする。

「チーフの大谷さんなんか結婚パーティーやろうかって大騒ぎしている。」      「そうか・・・実はね、この前「部下に慕われるフランチャイズオーナー」で店長かなり社長に好かれていただろ?3号店の話も出ている。これさ、まだ内緒の話だよ。」    そうこの話先日店長が私だけに話してくれた。

 月に一度マネージャミーティングがある。出席するのは店長と私そして石田の3人だ。店舗の売上報告、問題点の分析、今後の予定を発表する。今後の予定の話になると、石田には志摩ちゃんという名参謀がいるから斬新なアイデアが発表される。うかうかしていると石田に負けちゃうと私も真剣になる。それから店長の話になった。

「じつは、今度社長から3号店をいただくことになりました。ただ開店は1年後です。それに備えて各店1人ずつチーフを育成してほしい。1年後だからゆっくりでいい。人選は君たちマネージャーに任せるのでお願いしたい。よろしくお願いします。」

いよいよ3号店が決まった。

すると・・・石田が突然                                      「あの…皆さんにお話しておきたいことがあるんですが・・・・」と手を挙げた。     そして言いづらそうにはにかみながら話し始める。                     店長も私も何を話すのかおおよそわかっていたので、照れている石田をからかうように見ていた。                                            「あの…実は、わたしと志摩と結婚します。」                        「おめでとう!」                                          「ありがとう、実はそれだけじゃないんだ。結婚はもう前に決めていたんだけど・・・どうも・・・」

「どうも、赤ちゃんができたらしい。いや・・・まだ発表じゃないか・・・すみません・・・今日産婦人科行っている。ハハハ・・・

 まだ決まったわけじゃないんだ。すみません・・・正式な報告は後日にします。俺たち今年卒業だから・・・ほら仕事頑張らないとね。ミルク代稼がなくっちゃ・・・ていうかまだ決まったわけじゃないのだよね。」

石田はさっきまで理路整然と自分のお店の分析を説明していたのに、個人的な話をはじめると何を言っているのか支離滅裂な話しぶりになる。これには私も店長も笑うしかない。                                              「石田君、わかった。途中経過ということで聞いておく。君の気持ちはわかるよ。私もついこの前のことだから・・・」

いずれおめでとうと言うのだろうが、今の段階では急ぎすぎの石田君で大いに笑った。

次の日私は佐和子と仕事が終わって久しぶりに食事をした。              「昨日志摩ちゃんと電話で話をしたんだ。赤ちゃんできたんだって。」           「そうなんだ、おれたちなんかお祝いしてやらなくちゃな。」                「そうね・・・」                                            「石田なんておとといのマネージャーミーティングで決まってもいないのに、うれしくって、うれしくってしょうがないって感じで発表してたよ。報告なのか、おのろけかわからかった。店長と笑っちゃったよ。」

「石田君最近すごくない?あなた負けているかも?  あっ・・・ごめん・・・気にしている?」                                                「いや、気にしてない。石田の評価は認める。だってさ、参謀が志摩ちゃんだからね、かなわないよ。」                                             「参謀が悪くてごめんなさ~い」

「たださまじめな話さ、おれたち真剣にライバル意識燃やして頑張った、結局あのペアに負けたかもしれない。でも奴らは、来年家庭を持つ社会人、俺たちは大学3年生、おれは工学部だし学校も忙しくなる。来年からは張りあえない。佐和ちゃんだってそうだろ?」

「そうなのよ、私もそれ考えていたの。」

「今まで4人でがんばろう!・・・・感じだったけどこれからはライバルではなくなる。それとなく店長に話したんだ。そしたらマネージャーは激務だからチーフにもどるか?って・・・・3号店できても店長と奥さんと石田がいる。それから出産して復帰できたら志摩ちゃんも店長候補だよね。社員なのだから。」

「ちょっと寂しいかな。」                                      「しょうがないよ、別々の道歩んでいくのは・・・」                      「ビートルズだって解散した。」

HELP ! ・・・・② マリッジブルー

「湿っぽくなるから少しビールでも頼む?」                          「そういえば・・・佐和ちゃんとはお酒飲むの初めてだな?」

「そうね・・・「佐和ちゃんとは?」・・・ということはほかの女の子と二人きりでお酒飲んだことあるってことだ?」                                               私は一瞬ドキッとしたそういえば・・・・志摩との過ちの1日を思い出してしまった。   「ああ・・・いやね・・・姉きとしょっちゅう飲んでいるんだ。」

「なんていうのかな・・・それ、マザコンじゃなくて姉コン??よくお姉ちゃんお話しするのね。私に似ているのでしょ?今度お会いしたいな?」                    「佐和ちゃんの方が、ずっとかわいいし、優しいし全然似てない・・・」            「でも、この前似ているって言っていたじゃない?」                     佐和ちゃんには2人とも胸が大きいとはいえない。彼女を好きになったのはそれが理由とは思われたくない。

私たちはグラスビールで乾杯した。                              「お父さんになるってどんな気分だろ?石田のやつ有頂天だったけど・・・」      「石田君、すごく舞い上がっているでしょ?でもさ・・・志摩ちゃんの方は普通なのよ。なんかどういうのだろう・・・あまりうれしそうじゃないの。」                 「よくわかないいけど、マリッジブルーっていうの?結婚決まって幸せなのだけどこれでいいのかなあって・・・迷ってしまうことがあるのかも。」                  「店長の奥さんもそう言っていた。」                              「奥さんでもそういうことがあるんだね。」                           「ぜいたくな悩みですね。」                                    「おれも、パパになりたいなあ~~」                             「大学卒業できなくなるわよ。」

そしてそれから何日もしないうちに石田から電話が来た。石田から来たというより、2号店のマネージャーから1号店のマネージャーの私に電話が来た。          「実はさ、志摩が疲れるから、しばらく休みたいって言っている。」             「つわりとかで?」                                         「そんなにひどいとは思えないんだけど、本人が休みたいっていうんで・・・学校には行っているんだけどね。」                                     「そうか、それは休ませてあげるといいよ。」

「で相談なんだけど・・・志摩が休んでいる間さ、少しの間、女子アルバイトをだれかかしてくれないかな?」                                       「ああいいよ。佐和ちゃんに行ってもらおうか?」                        「佐和ちゃんかりて大丈夫なの?実は個人的に志摩のこと佐和ちゃんに相談したいんですごく助かる。」

「わかった、それじゃあ本人に言ってみるよ。」                        佐和子は私たちの申し出を2つ返事で了解した。

 それからしばらく、佐和子と働けない日々が続いた。私たちは1日おきに電話でコミュニケーションを取っていた。仕事の方は佐和子がぬけてもだいじょうぶだった。彼女が抜けたあとは逆に彼女をきちんとカバーしようとほかの女の子のアルバイトがいきいきと働く。そう私にアピールするかのように。学生のアルバイトだってみんな上を目指して切磋琢磨している。

 私にアピールするのは言うまでもなく、自分の時給をあげてほしいのだ。まだ同級生、1つ年下とほとんど変わらないのに、私が店長を見ているときと同じように彼女たちも私を見る。まるで自分が自分ではないようなすごい力を与えられた気がする。今までの佐和子や志摩ちゃんのように同期の仲間がいるときには感じなかったことだ。

  仕事が終わると電話でそんな話を佐和子とする。                   「石田ともそうだったけどちょっとの差なんて半年もあれば追いついちゃう。」     「本当、なんかみんな成長するの早くて、年取ったみたい。そう、来年からは今の彼らの時代がくるのかなあ~」                                    「みんな成長している。これってやっぱり店長の力だと思う。」               ちょっと間をおいておもいだしたように佐和子が話す。

「ああ・・・そうそうそう志摩ちゃんの話だけど元気ないみたい。石田君心配していた。奥さんが言うには子どもが動いたりするとすごく感動するって、母親だって実感がわいてきて。でも志摩ちゃんはいつも冷静あまり笑ったりしないみたい。どうしたんだろうね。」

「それを石田から俺も聞いた。」                                「なんか、私も心配なの。ちょっと石田君の相談相手になってあげているけど焼かないでね。」                                                「だいじょうぶ、佐和ちゃんを信頼しているし、心から愛している。」             「そういうのって口にしてもらうとすごくうれしいね。明日石田君に志摩ちゃんにそういったらって言ってあげる。今の言葉もう一回言って・・・」                  「そういうのは2回言うとしらけるの…そっちこそ俺にも言えよ。」            「言ってほしい?」                                         「うん」                                                「P..S I LOVE YOY・・・」                                    「ビートルズの歌にして言うってずるい!」

佐和子と話をして家に帰る、一杯飲みたい気分で缶ビールを飲んだ。すると姉が声をかけてきた。                                          「夢見るマネージャーさん最近はご機嫌麗しいようですね・・・」              「おかげさまで、ところで姉ちゃんはそろそろ4年生だけど就職は決まったの?」  「おかげさまで、1つ内定はもらっています。」

姉は一流大学だから就職は引く手あまただろう。最近の近況報告、3号店の話、石田と志摩に子どもができたことなど話をした。                           「しかしあなたの人生は目まぐるしいですね。泣いたり笑ったり落ち込んだり有頂天になったり、あなたがうらやましいわ。」

「そう?本人は、ジェットコースターに乗っているみたいであんまり乗り心地よくないよ。」                                                 「今は、上昇気流ね、4人とも。」

「それがね、志摩ちゃんが落ちこんでいるみたい。おなかに赤ちゃんができてつらいみたいだよ。志摩ちゃんに笑顔がないって、石田が心配しているんだ。」

「つわりがきつくても笑顔がなくなるって聞いたことないなあ。なんか石田君にも内緒していることがあるのかなあ?」                                 「ねえちゃんならわかるだろう?こういう時ってすいすいって答えるじゃないか。」  「私は、占い師じゃないわよ・・・・ちなみに・・・志摩ちゃんって妊娠何か月?」

「えっ?何か月とかあるの?」                                「・・・いいわ・・・質問代えるね・・・志摩ちゃんの妊娠がわかったのはいつ?」    「月初のマネージャーミーティングの時だから3か月くらい前、」             「そうなの?最近じゃないの?」                                「どうしたの?姉ちゃんなんかわかったの?」                        「そうじゃなくて・・・・それじゃあ、つわりがつらくなるころかなあ~~って・・・」     「つわりがつらくてもさっき笑わないなんて変だって言っていたじゃない。」

姉はビールを飲みながら                                    「私だって妊娠したことないから・・・ところでさ、あんた佐和ちゃんに優しくするときに、ちゃんと避妊している?」                                    「なに?」                                              「ちゃんと避妊しているかって聞いたの?」                          「あたりまえだよ。俺たちまだ学生だもの。変なこと聞かないでよ。」          「ごめん・・・お酒飲みましょう。」

HELP ! ・・・・③ 過去のあやまち

それから時が流れた・・・

私と佐和子はお店勤務が別々だけど2日に一度は電話をして週に一度は必ずあった。お互いの愛を確かめ合うことを忘れなかった。                     その度に話題になるのは志摩ちゃんのことだった。

「今度石田君がね、4人で会わないかって言ってきたのだけど。何もごちそうできないけどうちに来て4人で話しをないかって、そうすれば志摩ちゃん元気になるかなって・・・仲間なのだものみんなで盛り上げようって。」                    「いいねえ!こんなこと初めてだし。」

「明日仕事何時まで?」                                     「9時までだけど。」                                        「彼らの愛の巣でささやかなパーティーをしましょう。私が先に行って料理を二人でつくっている。石田君とあなたは仕事が終わったら来て。」                  「OK」

そして次の日石田からお店に電話があった。                        「佐和ちゃんから話行ったでしょ?」                              「いいよ、今日仕事終わったら行くよ。」                           「ありがとう、うちだけどさ・・・・石田は丁寧に家の道順を教えてくれた。わかる?」 「大丈夫…」

石田は志摩の部屋に入って2人で暮らしている。まさか私が彼女のうちに行ったことがあるから道を知っているとは言えない。初めてのふりして白々しくその曲がり角になにがあるの?と聞いた。また思い出してしまう…

そうか・・・4人で集まるのはいいが、場所は私が過ちを犯したあの場所か…    思い出すと気が重くなる。私は何とか耐えるが、志摩を励ますのが目的なのにかえって嫌なことを思い出させてしまう。石田にも佐和子にも言えない秘密だ。あの一日の過ちがいつまでも私におもくのしかかってくる。しかしいかないわけにはいかない。今日休みの佐和子はすでにもう彼女のところに行っているだろう。しかし私が平気な顔してなければかえって意識させてしまう。私は仕事を終えると深呼吸してつとめて明るく振舞おうと顔を笑顔にして二人の愛の巣に向かった。

私は部屋をノックして                                      「石田!来たよ!」と声をかけた。                               するとドアが開いた。ドアを開けてくれたのは先に来ていた佐和子だった。まずはあがって石田と志摩にあいさつをした。

「これ、ささやかながら・・・」

そう言って買ってきたビールを差し出した。すると佐和子が               「なんかいかにも買ってきましたって言っているけど、自分が飲みたいだけだよね。」「その通りです。」                                         「佐和ちゃんそうやっていつもこいつをいじめているの?」                 すると志摩がニコっとわらった。もう充分おなかが大きくなっているのがわかる。

「今日は私の得意料理のギョーザをみなさんにふるまいます!」と佐和子が言うと 「あのこげた餃子食わされるの?お店からハンバーガー持ってくればよかった。」  「1回だけ失敗しただけでしょ?いつまでも言うわね。」

そんな明るいムードでささやかなパーティーは始まった。話題はやっぱり仕事の話。私たちの航海も3号店に向かって順調な船出である。それから店長の話になるとまた盛り上がる。親ばか丸出し子煩悩の店長の話には志摩も笑顔だった。

「赤ちゃん楽しみよね~~」と佐和子がいう・・・                       すると志摩ちゃんの笑顔が消えた・・・                             少しみんなが沈黙をした。そして静かな声で志摩が言った。               「石田君・・・こどものことだけど・・・」                              「うん・・・かわいい赤ちゃんたのしみだよね。」                       「・・・こども・・・やっぱりおろしちゃだめ?私生む自信ない。」                 みんなびっくりして志摩を見た。かける言葉が見つからない・・・             「なにを言っているのだ。冗談だよな?」                           「ごめんなさい・・・」

志摩が泣き出した。石田は一瞬大きな声を出しそうになったが冷静にささやくように聞く。

「だいじょうぶ、俺たちまだ学生だけどちゃんと子ども育てていける。おれはマネージャーとしてやっていける。心配するな。」                            「私たちだってできることは何でも協力するわ。」

佐和子が口をはさんだ。しかし志摩は悲しそうな顔をしている。            「私は、石田君を信頼している。そんなことは心配していないのです。」         私と佐和子はだまっていた・・・私たちが口をはさむことではないと。石田が質問して志摩が答える格好になった。

「俺たちここまで来るのは大変だったけどこうやって一緒に暮らして愛しあって、やってこれたんじゃないか。」                                      「でも・・・おなかの子は私たちが同棲する前に宿ったの。」                「べつに同棲する前だってあとだって同じじゃないか?」                   「同じじゃない。」                                         「どっちだっておれの子にはちがいはないだろ・・・」

「もし・・・あなたの子じゃなかったらどうする?」                       私は目の前が真っ暗になる恐ろしい衝撃におそわれた・・・・志摩が何を言っているのか分かった。そう彼女が言っている意味がわかるのは私だけ・・・・佐和子にも石田にも秘密にしていることだ。

あの過ちの一日・・そうここにベットがありここで二人でコーヒーを飲んだテーブルもそのままだった。あのなくしてしまいたいあの過ちの一日が悪魔のようによみがえってくるのだった。

HELP ! ・・・・③ つぐない

「あなたの子じゃなかったらどうするって?どういう意味だ。」              「ごめんなさい・・・もう何も言わずに私たち別れましょう。」                 すると石田は私たちに向かって

「ごめん!ここは二人にしてもらえるかな?2人で話をしたい。悪いけど帰ってくれるかな・・・・」                                              すると佐和子が                                          「わかった石田君のいう通りにする。」                             そう言って私の手を引いて出ていこうとした。石田は志摩に優しく話しかけていた。

「大丈夫、どんなことを聞いてもおれの志摩ちゃんへの愛は変わらない。誓う。」

その横を私たちは軽く会釈して帰っていった。私も当然のことだが青ざめていた。  佐和子は敏感に私の変化に気づいていた。                         「大丈夫?歩ける?」                                      「ああ・・・なんとか・・・」                                              ともに歩けないくらいに動揺している。佐和子は私に何も聞こうとしなかった。    「家まで送ってあげようか?一人で歩けるの?」                       「佐和ちゃん?おれに何も聞かないの?」                          「私も混乱している。ただあなたが何かかかわっていることだけはわかる。」

「佐和ちゃんごめん・・・」                                     「大丈夫、私よりもあなたの方が苦しいでしょ?私に話した方が楽になるなら聞くわよ。」                                                 佐和子は優しかった。包み隠さずあの過ちの一日の日のことを話した。       「大丈夫、私はあなたを嫌いにはならないから、ただどうしたら志摩ちゃんに明るくなってもらえるかはわからないけど・・・・」                                

佐和ちゃんありがとう・・・私は彼女にひれ伏したい思いだった。少し気分も落ち着いて一人で帰れるくらいにはなった。いまだにどうしていいいかわからず頭の中は空白のままだが、帰る道すがら姉のことを思い出した。そうか・・・姉にこの前不可解な質問を私にした。

『ところでさ、あんた佐和ちゃんに優しくするときに、ちゃんと避妊している?』姉は気づいていたんだ。志摩ちゃんが元気のない理由を。それで私に避妊しているかと聞いたということだ。 悲痛の中で、のたうち回って眠れず、とうとうその日は一睡もできなかった。翌日も仕事にはいかなければならない。少し放心状態だったが何とか一日を終えた。仕事が終わると2号店の石田と佐和子が二人で私の店にたずねてきた。


「話がある・・・・」石田はそれだけ言って事務所に来た。従業員が全員帰るのを待ち3人だけになると石田は話し始めた。

「すべて志摩ちゃんから聞いたよ。おれは彼女を許したお前に確認したいことがある。こんなこと2度と言いたくないからちゃんと聞いてしっかり答えろ。いいか?」

佐和子が石田に話したんだろうか?石田は鋭い目で私をにらんでいるが、冷静さは失っていないようだ。これから何を言われるのか見当もつかない。

「手帳があったら見ながら確認してほしい。あの日の夜だ!お前は志摩ちゃんとお店のクローズワークを行い。そのあと居酒屋に行った。そこで仕事の話をしながら酒を飲んだ。そのあと志摩を家まで送っていった。ここまでまちがえないか?」

「間違えない。」                                          「それから部屋に上がり込んだ。そのあと行為に及んだ。二人が唇を合わせたあとに、志摩の方から、おまえにスキンを差し出した。それをしっかりおまえは自分のものに装着して行為をした。それにまちがえはないか?」

「まちがえはない。こころから悪いと思っている。」                     「おれのこだわっているのはそこじゃない、お前は行為に及んだが避妊をした。どうだ!そこを正確に答えろ!」

「少し酔っていたが、そこは絶対と言い切れる。」                      「神に誓え」                                            「神に誓う」

「そのあと俺がこんどは、志摩ちゃんの家に行った。志摩ちゃんはお前が出ていったままドアのかぎをかけずに泥酔して寝ていた。おれはその時に寝ていた志摩が許せなかった。おれは強姦するように無理やり行為をした。彼女はかなり酔っていたから、そのことは覚えていないといっている。だからずっと悩んでいた。」

「とにかくおなかの子は俺の子だ。今後おまえも、自分の子じゃないかという疑いを一切持つな。おれも志摩もおなかの子はおれたちの子以外にはありえない。」     「本当にすまないことをした。」

「あやまらなくてもいい。しかし・・・このままじゃ気持ちの整理がつかない。だまって一発殴らせろ!それで終わる。いいか?」                           「わかった。」                                            「ちょっとまって」佐和子が口をはさんだ。                          「とめないで、これは男同士の問題だ。」                           「とめない、石田君お願いがあるの・・・」

「私の分もお願いしたい。」                                   「そうか、じゃあ、おれの分と佐和ちゃんの分で2発だ。歯を食いしばれ・・・」

「ちょっと待った・・・・」今度は私が口をはさんだ。

「実は俺、志摩ちゃんを平手打ちでたたいたことがある。志摩ちゃんは悪くないのに・・・あのことずっと後悔している。できたら今償わせてほしい。志摩ちゃんの分もふくめて3発殴ってほしい。」

「その話は俺も聞いた。わかった。その通りにする。」                    石田は拳固で私を3発遠慮なくたたいた。私はその場にうずくまりふらふらとなった。


「一人で帰れるか?」                                      「ありがとう・・・大丈夫だよ。」                                  私はいろいろなことが駆け巡った。痛みはつらかったが少しだけ苦悩から逃れられた。ちょっとよろけながら家路をたどる。すると姉が待っていた。            「おかえりなさい。」姉は救急箱をもって私を待っていてくれた。                「ただ今・・・・」                                           「すごいねえ、あざができていい男になっちゃって・・・」                  「・・・・・痛!」

「佐和ちゃんから電話があったわよ。佐和ちゃん私にこんなこと言ったわよ。     『お姉さんご迷惑でしょうけど今日だけ彼を介抱してください。今日だけ介抱してくだされば、私は一生彼のそばにいます。今後お姉さんにご迷惑はおかけしません。』   そう言ったわ。かわいい妹の頼みじゃ断れないよね。あんた前に佐和ちゃんと私似ているって言っていたことあったけど、確かに似ているかもしれない。いい子ね・・・大事にしなさいよ。」                                           そういいながら傷口に薬を塗ってくれた。

「いててて・・・姉ちゃんもうちょっと優しくやってくれよ。」                 「佐和ちゃんから優しくやってくれとは言われてないから・・・」               「ねえちゃん・・・今日の俺ってかっこいい?それともかっこ悪い?」            「最高にかっこ悪い!!!」                                  「ねえちゃん・・・介抱してくれてありがとう、ねえちゃんの胸がおれの顔にぶつかってうれしかった。」                                           「あんた・・本当のバカね。」                                    ビートルズの歌が聞こえてくる

HELP !

♪ Help ! I need somebody

 Help ! not just anybody  Help, you know I need someone, help              Won’t you please please help me help me help me ♪


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