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71.錬金【極】

化粧品ばっかりすいません。これで一段落つきます。

 昼食時、化粧を施した2人が凄く綺麗だと褒められていた。我が事のように嬉しい。えっへん。セリサイトの粉がはたいてあるので、何かの拍子にキラキラと輝くのがいいね!短期間でえらく化粧品に詳しくなってしまった気がする。ぷるんとした唇も可愛い。


「アディ、今日は私、別のもの作るから。昨日の商品、ノート見ながら作っててくれる?化学式を釜のとこに貼ってくれてもいいけど」


「えっ…出来るかな…ちょっと心配…」


「錬金10だから出来ると思うんだけど、心配なら1種作るごとに鑑定してみて。ちゃんと出来てたら、ノート通りの材料の名前が出るはずだから」


「う、うん解った!」


「ちょっと失敗した程度でこける商売じゃないんで、気楽にね」


 さて、チークを作ろう



●チーク


 まずは4種の材料を錬金。2種の材料と、色材は化学式錬金で作る。


 色材とオイルと無水エタノール以外を全て混ぜ合わせる。混ざったら、色剤を入れて錬金でしっかり混ぜる。色味を見て問題なければ錬金で(ふる)いに掛けた状態にする。


 オイルと無水エタノールを混ぜ、粉の中に投入、粉っぽさが無くなるまで錬金で良く掻き混ぜる。


 これをソフトピンクベージュとソフトコーラルピンクの2種作る。


 入れ物は、石英から強化ガラスで高さが低めで底のある円柱形に精錬し、蓋の部分にチーク、Rosaの刻印を入れる。


 ここで空間拡張し、チーク全てを平置きしても大丈夫な空間を作る。


 入れ物に山盛りになるようチークを入れ、プラスチックの板でぎゅっとプレスする。2回目のプレスで表面が綺麗で容器に収まっている事を確認、蓋が開いた状態でどんどん並べていく。2種とも全て並べ終わったら、アルコールを飛ばすため、範囲指定でチークを2日経過した状態にする。

 全部蓋をしていく作業はラライナに任せた。



●アイブロウ


 先ほど多目に作った材料4種を用意しておく。化学式で錬金して3種の材料を作る。


 オイルとエタノール、1,3ブチレングリコール、色剤以外の材料を混ぜ合わせる。


 良く混ざったら色剤を入れ、色具合を調整しつつすり潰すように混ぜ、色に納得できたら、錬金でふるいに掛けた状態にする。


 さっき使わなかった3種を混ぜ、粉の中に入れる。錬金で斑無く良く掻き混ぜ、粉っぽさがあればアルコールを少し足す。


 入れ物は石英から、強化ガラスで作る。チークより少し小さめの容器を作り、蓋の部分にアイブロウ、Rosaと刻印する。後はチークと同じだ。


 蓋をしてまわるのはラライナにお任せ。


 最後だ!フェイスシャドウ!!!!



●フェイスシャドウ


 3種の材料はもう作り置きがある。


 2種を化学式から錬金。


 3種を混ぜ、色調整をしておく。


 オイルとエタノールを混ぜておき、パウダーに少しづつ注いで錬金で攪拌(かくはん)する。


 チークと同じ大きさの容器を石英から強化ガラスに錬金して作り、蓋の部分に、フェイスシャドウ・Rosaと刻印する。後はチークと同じだ。


 此処らへんの作業をしている時、鍛冶屋が訪ねてきた。

 慌てて対応し、6000個のビューラーを受け取る。ついでに同量で追加注文すると、鍛冶屋は笑った。


「ほいほい、売る前からもう次の心配か。繁盛しとるようじゃの」


 また3日後に持ってくる、と言い残し、鍛冶屋は帰った。


 さて、と振り返ると、黒曜は作業が終わっており、アディと共に化粧品を作っている。

 そこに私も混ざって作業すると、全部が終わった頃に晩餐の時間になった。

 ラライナは小分けと蓋の作業で腕が痺れた、と言っている。その辺全部お任せしちゃったからねえ。


 <―…マスカ>


 ん?なんだろう。


 <”ケショウヒン”ノ作成ヲ登録シマスカ?>


 ええ??登録したらどうなんのこれ

 はい、と答えてみる。


 <以後、ケショウヒンノ作成ニハおーともーどガ使用可能デス>


 ええ…なにオートモードって…。


 試しにリップグロスを指定して、オートモード、と念じる。すると私の影のようなものが現れ、全ての工程をこなしていく。呆気に取られている間に私の3倍くらいの速度でグロスを作り終わる。

 自分のステータスを確認すると、錬金に【極】がついていた。これか!

 うわーラクチンな上に早い、素晴らしい。オートモードでやってもらってる間に色々他の事出来そうだ…嬉しい…。


 いや、冗談抜きで、最近化粧品の錬金以外やってないんだよ…。

 よし、朝から全種類指定して放課後帰るまでに出来上がるようにしておこう!万歳!!!

 1種類づつアディに渡し、1種類づつとビューラーを包装する。

 

 ここらで晩餐を食べる。ミートローフ美味しい!いつになく清々しい気分で嬉しそうに食べているのを見た家族にどうしたのか聞かれた。


 「錬金が【極】になったんで、オートモードというか、自動で勝手に化粧品作ってくれるようになった。多分私が一回作ったものならいけると思う」


 毎日へろへろになる寸前まで錬金し続けていたのを知ってる皆は「おめでとう!!!」と声を掛けてくれる。うん、本当に嬉しい。リシュもそろそろ自分の手を離しても店を任せられそうになった、と嬉しそうに言う。


 さっきは日替わり特製デザートパンを仕込んでいたそうだ。

 それもめでたい!「おめでとう!!」嬉しそうにリシュは笑う。


 晩御飯が終わったら、出来た商品を店舗のバックヤードに転移させる。店舗にディスプレイしながら、ビューラーの使い方のPOPを作成。新商品の使い方もPOPで説明。こっちの人にはぱっと見ただけでは使い方が解らないだろうと思って図解した。バックヤードに残りの在庫を置いて、従業員用の説明をメモに書いていく。


 明日もまあ…やっぱ昼ごろに訪ねるのがいいかな?王宮。

 さて、明日はビューラーが入ってくるのを知っている人が押しかける筈だ。従業員さん、頑張って!!


 私は学園があるからね。しょうがないね。

 一先ず化粧品作成戦争は、今日で終わりを告げたのだ。


 次の日、フルメイクのリシュとアディが居た。うおお。大違いになるんだなあ。いつもより綺麗になってるのがわかる。ラライナもかなり若く見える。美人さん達が更に美人になるのは喜ばしい。

 ぷるぷるの唇でありがとう、と口々に礼を言われる。


 錬金部屋へ行き、ノートを取り出して、このノートの中の商品をそれぞれ6000個づつ作成、とオートモードを掛けておく。毎日素材だけはちゃんと補充してやらないとな。特に錬金溶液。高いのに。

 影が何人も現れて同時進行であれこれ作っているのを見届けて、朝食へ。


 あー、化粧品の心配しないで食べる朝食めっちゃウマー!黒曜座椅子に座ってあーんしながら食べさせ合いっこする。


「最近ピリピリしてたのがなくなったわね。良かったわ」


「あれ。そんなにピリピリしてましたか」


「そうだよー!化粧品頼んだ私達が悪かったって何度も思ったんだから!」


「んー、確かに常に余裕無かったかも。ごめんな」


「いや、悪いの私だから!ほんと御免!でも凄く有り難い!ありがとうー!」


「もう終わった事だし気にすんなって」


 食べ終わって学園に行く。いつにも増して凄い女子の数がアディとリシュに集って来た。

 今日販売だ、と言うと、此処で反応に明暗が出る。


「お母様にビューラーを買ってきて下さる様にお願いしましたもの、きっと新作の方も買ってきて下さいますわ!」


 という集団と。


「うう。今日ビューラーを買いに行く予定だったんですけど、きっと放課後では間に合いませんわね…昼に…抜け出せば…」


 という集団。


 そしておずおずと聞いてくる子達。


「あの…今日ビューラーが売り切れてたら、次はいつの入荷ですの?」


「3日後になるな」


「3日…!これも間に合わなければまた3日掛かるという事ですのね!?」


「あ、ああ。うんそうだ」


「私今から並んで参りますわ!」


「私も!」


「えっ授業休むの!?」


「ビューラーの前では些細な事でしてよ!」


 いや全然些細じゃないし。


 大勢が結託して教室から出ようとしたのを堰き止めるように、先生がやってくる。


「集団サボタージュはダメだぞー。皆席につけー」


 呆気なく止めて貰えてほっとした。

 ウチの店のビューラーを買うために集団サボタージュが起きた、なんて醜聞はいらない。

 しぶしぶ諦めた子達は、昼休みに突撃しそうだ。残ってるといいな!


 しかし、化粧をしたアディは凄く色っぽい。時々シュネーが見蕩(みと)れては、私に良くやった!のサムズアップをくれる。…まあ、化粧品作って良かったのは、皆の笑顔が見れた事だね。私はしない。けど、夜会とかがあればアディ達に化粧されそうだ。


「あー、週末に自由参加で新入生のパーティーがある。ドレスやスーツで来るように。立食パーティーだから、そんなに格式ばってはいない。楽しんで参加してくれ。しないヤツはしなくていい。」


 じゃあしないで置こうか…と思ったが、黒曜が私の反応にしょんぼりしていたので、参加する事にした。ドレスは今家にあるやつでいいよな。王城でやる訳じゃないし。


 そういや褒章のパーティとパレード、ずうっと問題続きで忙しくてやってる場合じゃないのを汲んで王も言い出さなかったみたいだけど、このまま忘れてくれないかなー…。もう生徒会は刷新(さっしん)されて問題なくなったし…。

 忘れてくれてますように!


 昼に包装した化粧品とビューラーを持って王城へ、玉座の間で王妃に手渡す。それぞれ使い方を説明し、これでやっと一式が揃ったのでフルメイクが出来る事をお伝えする。物凄く喜んでくれた。

嬉しいな。


 あと、もう褒章の夜会とパレードは必要なくなったんで要らない事を伝える。王はちょっとションボリしていた。欲しいモノも特に無いし、こういう時困るね。化粧品で資金もガバガバ増えてるし。

 なくてもいいよ、と思うんだけど王の権威的に、何もしないというのはありえないそうだ。

 じゃあ、黒曜と2人で宝物庫に入りたい、と言うと少しホッとした顔で承諾して貰った。

 今日の放課後にでも寄ろうかな、と思いつつ御前を去する。


 いつものシェアルームで黒曜に甘えながら放課後の話をすると、黒曜も喜んでくれた。

 美味しい昼食を食べながら寛ぐ。はあ~やっぱりのんびりがいいね。上機嫌の私に、黒曜も笑顔になりながら昼食は終わった。


 放課後、黒曜と王城の宝物庫に訪れる。魔法のスクロールを漁っていると、太陽魔法のスクロール、というのがあった。なんだこの魔法…。気になるので私はそれにした。

 黒曜は龍魔法、というスクロールを見て硬直している。うわ。それは私も気になるわ。

 王に、2つのスクロールを選んだ事を伝え、帰途に付く。化粧品の材料だけは買って帰った。

 

 さて、どんな魔法だろうか。

ずっと化粧品のことばっかりやってたマリーさん、お疲れ様でした。今後は好きな事ができますね!

読んで下さってありがとうございます!少しでも楽しく読んで頂けたならとても嬉しく思います(*´∇`*)もし良ければ、★をぽちっと押して下さると励みになります!

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