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68.化粧品

昔は白粉に水銀って当たり前に使われてたみたいですね。

 お昼ごはんをしょんぼり食べながら、アディとリシュに、この世界のおしろいは使っちゃダメだと報告する。


「え?なんで……あ。昔の日本と一緒?」


 うん、と頷く。


「そっかぁ。水銀入りはちょっとなー。ラライナにも言っておかないと」


「…大人しく使わない、だけで済むと思うか?」


「「思わない」」


「やっぱそう?でも今手一杯なんだけどな!」


 すると、座椅子になってる黒曜が、よしよしと私の頭を撫でて発言する


「化学式やどの材料を何に分解するか紙に書いてもっと釜の傍に貼ってくれ。ほぼ肩代わり出来ると思う。出来ないものは出来なかったときに言う。聖水の用意だけはすまんが頼む」


「こ…黒曜…!!!大好きだ!!!愛してるぅうううう!!」


 感動のあまりに思い切りむぎゅうと抱き締めてしまった。黒曜も抱き締め返してくれる。あー…安らぐ…。


 シャンプーとトリートメント、石鹸は分けて書いて、混ぜていく順番や温度などを一旦ノートに纏めよう。纏めた上で読んで貰って、出来そうな材料を自分で好きな釜にメモを貼った方がいいだろう。

 そう提案すると、黒曜は頷いた。


 女子の化粧品て何があったっけ、ファンデーションと口紅とアイシャドウくらいしか解らない。

 そう言うと、アディが


「化粧下地とチークにアイラインにビューラー、マスカラ、マスカラのトップコート、アイブロウ、ポイントに置く白の粉と、最後に乗せるフィニッシュパウダー。人に依っては顔の凹凸を上げる為にフェイスシャドウ、くらいかな。最近の子は黒目が大きくなるコンタクトとか入れてたけど。爪はその後でいいかな」


 なにその多さ!!!女子って毎回そんな沢山使って化粧してるの!?尊敬に値するよ!?

 言われたものをメモして、どれが何処にどうやって使うものかも説明して貰う。


「一旦、化粧下地とファンデーションで納得してくれない?一気にそんなの無理だし」


「そうねえ。取りあえず禁止なのはおしろいなんだから、それでいいんじゃない?でも近日中に他のものにも取り掛かってね♥」


「ビューラーは鍛冶屋に頼むからすぐ出来ると思うけど。熱が出る方がいいんだよな?魔道ビューラーで仕上げて貰うよ」


「前世のは電池の関係で胴が太かったんだけど、魔道で動かすならこういう形が良い」


 さらさらとアディが図解してくれる。うん、解りやすいから鍛冶屋にそのまま見せよう。


 放課後、まずは鍛冶屋へ行く。図解を見せて、熱くなる部分を約70℃程で温度をキープしたい、と相談。胴体の内側に魔導線で70℃のキープ温度を仕込んでおくと問題ないとの事。オンオフも簡単にスイッチで出来るようにお願いする。


「で、いくつ要るんじゃ?」


「………いくつだろうね……先ずは1つ、残りは6000個くらい…あ、金額はちゃんと言ってくれ。これ商売に使うやつだから」


 そう言うと、まずは1つを目の前で手作りしてくれた。持って帰れるの有り難い…。


「残りは3日後に来てくれ」


「あ、オヤジこれやる」


 感謝の印、神鋼をごとごと置いていく。

 オヤジの顔が輝いた。


「ほいほいほい!これでもう支払いは貰ったぞい!」


「は?」


「は?じゃないわい。お前さん神鋼の価値がまるで解っとらん!!これまで貰った分も合わせると、何万個頼まれようがもう代金は貰ったも同じじゃ!これ以上言わせるでないわ」


「はは…ありがとうオヤジ」


 こうなった鍛冶屋はテコでも動かない。有り難く好意に甘える事にした。


 その後はざっと白粉などの情報をカフスさんから聞いて、手に入る材料は買っていく事にする。

 ひまわりの種、南瓜の種、オリーブオイル、アロエベラ、サトウダイコン(こっちでは砂糖の材料ではなくそのまま食べられている)更にお土産屋で珊瑚をこれでもかとばかりに大量に買ったので、店の人に驚かれた。ほぼ根こそぎ買ったからなあ。


 家に帰ってビューラーを渡してやると、アディとリシュが喜んだ。ラライナは良く解らない顔をしていたので、教え込む気らしい。化粧台の前にラライナを連れ込んでいた。


 私は黒曜と共に錬金室に篭る。まずはタル3つに満タンの聖水を作って入れておく。

 黒曜はシャンプーなどの材料をそっちで買ってきてくれたらしい。すっかり私は忘れていたので物凄く感謝した。

 だって、化粧品の難易度が高くて頭がイッパイだったんだよ!


 家に帰ると錬金部屋へ行って、黒曜は髪用品を、私はカフスで調べながら化粧品を作る。



●化粧下地


 椿からグリセリンを、化学式からヒアルロン酸原末を錬金し、良く混ぜる。


 更に聖水を入れてよく混ぜる。冷やすとヒアルロン酸原末が溶けていく。


 獣の皮からコラーゲンを精製、色々混ぜた方の釜へ注ぐ。ビタミンC誘導体を混ぜて美容液の出来上がり。

 アロエベラをジェル状に加工し、椿からグリセリンも作って、美容液にしっかり混ぜる。下地の出来上がりだ。


 解り辛そうだったので、多目にプラスチックを錬金し、少し硬いビニール状にする。チューブ型に錬金して化粧下地、Rosaのロゴを浮き彫りにする。プラスチックでポンプ出来るチューブにして、小分けして詰めて出来上がりだ。チューブだけだと、こっちが小分けして詰める時に困る。


 で、とうとうメインがやってきた。ファンデーションだ。

 BBクリームやCCクリームじゃなくファンデがいい、とアディが言ったからだ。



●ファンデーション


 まず南瓜の種からシードオイルを、オリーブスクワランを錬金してオリーブスクワランオイルにする。


 次、化学式と錬金溶液から4種類の材料を作り出す。


 少し色白の人向きくらいで作った方が受けそうだなと考える。


 ホワイトクレイを良く潰し混ぜて微細な粉に変える。そこに色剤で白すぎない色白ベージュの色に調整する。其処で残りの材料を混ぜて、良く錬金で掻き混ぜる。リキッドファンデーションが出来た。


 これは下地と間違わないようにガラス瓶にポンプが付いた物を入れものとして作成していく。小分けして詰めて出来上がり。


 で、リキッドにしてしまったからにはフィニッシュパウダーが要ると言われたのであと一頑張りです…。



●フィニッシュパウダー


 まず、化学式から4つの材料を錬金する。


 買ってきた珊瑚を錬金釜に入れて珊瑚パウダーを錬金。


 色剤以外をまずしっかり混ぜる。酸化鉄は更にすり潰して微細な粉に変えて、材料を混ぜた釜に少しづつ入れながら色みを見てストップ。最後にマイカの色剤を混ぜて、白い肌にはこれくらいかな、という所で止める。


 フィニッシュパウダーが出来た。大きいブラシでふわっと乗せる化粧品だから、内部に複数穴の開いたプラスチックの蓋を被せたガラスケースをパウダー・Rosaのロゴ入りで作る。

 後は小分けに詰めて出来上がり!


 各6000個。もうこれ以上はしんどいので、勘弁して欲しい。


  全部作り終えた時には歓声を上げた!やりきった!やりきったよ!黒曜も、なんと6000個のシャンプー類を完成させてくれていた…戦友よ…!

 それぞれ1個づつ持ってリビングへ行く。寛いでいたアディとリシュに化粧品を渡す。

 歓声を上げてまずは風呂上りから試す気らしく、意気揚々と風呂に向かう。ラライナも引っ張って行かれた。

 

 店のバックヤードに転移して在庫を置き、店頭の方に基礎化粧品を並べる。


 王城にも出向き、商品を1つづつ包装して王妃様へ。使い方を説明すると喜んで貰えた。


 私と黒曜は遅くなった晩餐を2人で食べる。うう。美味しいよお…疲れた体に染み込むよお…

 もう今日はフラフラなので講評は明日お願いします~。


 晩御飯後はクリーンを掛けて2人でぐっすり寝た


 朝起きると、女性陣がキラキラした顔で褒めてくれた。でもまだアディやリシュは若いんだから化粧なしでいいと思うんだけどなあ。上向き睫毛に薄くファンデーション。目立たない程度に化粧しているが、確かにいつもより肌が綺麗に見える。


 じゃあもういいか。売るか。早朝から店舗のディスプレイを弄ってコスメコーナーを作った。下地、リキッドファンデ、フィニッシュパウダー。陳列にうんうん悩みながら飾っていく。残りはバックヤードだ。結構拡張したのでまだ入る。店員用に、商品の説明をしっかりメモにして目立つところに貼る。


 これでなんとかなるかなあ。


 学園へ行くと、早速アディとリシュが女子に囲まれていた。私の作ったコスメで、今日から販売してると言うと、放課後ダッシュしなきゃ…と呟きが聞こえる。あ。王妃への献上を忘れていた。今日の放課後に渡しに行こう。


限界まで頑張って店舗の世話をしてるけど、空気になった勇者の事も偶には思い出してあげて下さい…

読んで下さってありがとうございます!少しでも楽しく読んで頂けたならとても嬉しく思います(*´∇`*)もし良ければ、★をぽちっと押して下さると励みになります!

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