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妹様はおにーちゃんを惚れさせたい  作者: 御霊流空
妹様はおにーちゃんを惚れさせたい
8/11

六日目「妹様はおにーちゃんに会いたくない」

ー紅葉視点ー


 いつもならもうお兄ちゃんの部屋に向かっているだろう時間、私は自分の部屋でベットに顔をうずめて横になっている。


「うぅ……、どんな顔すれば良いのか、分からないよ」


 そう言いながら、足をバタバタとさせる。昨日お兄ちゃんをからかうつもりでポッキーゲームをした結果。一瞬ではあるのの、本当にキスをしてしまった。


 最初は勝てると思い、焦らしながら食べて行っていた。そうしたら、お兄ちゃんが急にスピードを出して食べ始めて、動揺をして口を離せなかった。

 唇を触る、一日経っていると言うのに、未だにお兄ちゃんの唇の感触が離れない。


「あぁ、もう! 消えろ消えろ消えろ消えろ!」


 頭をぽかぽかしていると、ガチャリとドアの扉が開く。私は驚き、ベットから逆さに落ちると部屋に入ってきた人物が目に入る。


「お兄ちゃん?」


 部屋に入ってきたのは、スーツを着たお兄ちゃんであった。そんな服どこから持ってきたんだとツッコミたい所だけど、口から出ない。


「妹様、何か御用でしょうか?」

「???」


いやいやいや、入ってきたのはそっちだよね。私が何の御用か聞きたいよ。何かの違和感に私は困惑する。


「食事をお召し上がりになりますか?」

「何も言ってないよ!」

「お食事ですね。かしこまりました」


 そう言いながら、部屋のドアを丁寧に閉じ、一階のリビングに向かう音が聞こえる。


「いやいやいや、何? 何なのあれ……」


 普通に様子がおかしい、何か変な物でも食ったのだろうか……それとも遂にニートと言う事に耐えかねて頭のネジが壊れたのだろうか。

 そんな事を考えていると、さっきと同じ様にガチャリとドアを開ける。


「ノック位しろ」

「申し訳ございません。いつも妹様がノックをせずにドアを突き破り入ってくるので、これが礼儀かと思いまして」


 それを言われたら、何も言えず、私は黙り込む。本当にどうしてしまったのだろうか…昨日のポッキーよりそちらの方が心配になって来た。


「妹様、此方が今日のお食事で御座います」


 お兄ちゃんがどこで買ったのと思う様な、高級レストランなどで良くある料理にかぶせる銀色の丸い蓋、クローシュを開くとそこにはポッキーが置かれていた。


「お兄ちゃん昨日のあれで壊れちゃったんだ」


 私はお兄ちゃんの肩を揺さぶり、正気に戻る様に促す。


「お兄ちゃん!」

「ちょっ! 強い待て待て待て」


 あまりの心配に激しく肩を揺さぶっていると、ドアにドンっ!と頭をぶつけて、わざとらしく倒れる。


「うぅ…お兄ちゃんが壊れた、お母さん!」


 私はいつもと逆で音を立てながら、下へと下っていく。リビングに素早く移動し、勢い良くドアを開ける。


「お母さん、お兄ちゃんが……お兄ちゃんが……」

「どうしたの紅葉、貴方も或斗も様子がおかしいわよ」


 お母さんは驚きながらも、頭を傾げて、何事かの様に見ている。


「そうなんだよ! お兄ちゃんがスーツを着て、頭がおかしくなったの!」

「そうなの? 私はてっきり今日の朝、銀行からお金を出したいと或斗が来た事かと思って」


 お兄ちゃんが朝からお金を出したのか……まさか、あのスーツや道具達をわざわざ買ったのだろうか。


(でも何のために?)


 私は自分の頭をフル稼働する。お兄ちゃんが何故こんな事をするのか。お兄ちゃんは何か無いと絶対にあんな事はし無い、何が目的なんだ。


「私ちょっとお兄ちゃんを見てくる」

「そう、仲良くね」


 私は二階へと上がる、お兄ちゃんに会いたくないと思っていたのに何故か今はそんな事気にならなかった。


 二階に着くと先程の様にまだ倒れている。私はお兄ちゃんに近付く、するとお兄ちゃんは目を覚ます。


「うわぁ!」


 急に起き上がるものだからびっくりした声が出てしまった。


「うわあってなんだよ!」

「そっちこそ、さっきからなんなの」

「さっきからなんなのって……あれ? 昨日の夜からの記憶が無いなぁ」


 棒読みでそんな事を言う。記憶が無くなった演技をしているのにすぐに気付く。

 馬鹿らしすぎて笑いが堪えられない。


「何それ、プッハハハ。もうちょっと他のやり方あったでしょ」


 お兄ちゃんは顔を赤らめて、少し恥ずかしそうにする。遂に何がやりたいのか分かった、昨日の事を無かった事にしようと言う事なのだろう。


「なんだよ! 覚えてないもんは覚えてないんだよ」

「うん、そうだね何も無かった。そう言う事で良いんだよね」


 私はお兄ちゃんがくれた機会に便乗する。これだからお兄ちゃんは不器用だけど、私のヒーローなんだよ。


「んじゃあ、昨日分も一緒に遊ぼうか」

「今からやるのか? 明日学校だろ?」

「良いの!」


私はお兄ちゃんの部屋へと押し入り、ベットに座り込む。満面の笑みでお兄ちゃんを見て、指を指す。


「今日は寝かせないぜ、ベイベー」


 私はそう言い、部屋のドアを閉じる。

 いつか絶対におにーちゃんを惚れさせる為に私は諦めない。

プチ話


紅葉「お兄ちゃん次は愛してるゲームする?」

或斗「お前は懲りねえな!」

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