二日目「妹様はおにーちゃんとゲームがしたい マリオ編」
-或斗視点-
昨日の紅葉の夜這いで、家族会議になったのだが、危うく俺が妹に変な事をしたのでは無いかと疑われた。
カチャカチャとコントローラーのボタンを素晴らしい捌きで押していく。
昨日の紅葉に邪魔され途中のゲームの攻略を進める。
すると、下からドンドンドンドンっと騒音がこちらに近付いて来るのが分かる。
噂をすればと言うやつだな。俺が時計を確認するとまだ時計の針は四時を指していた。
(あれ? 今日は早いな……)
ドン!っと、昨日応急処置で固定したドアが又もや吹き飛び。
その後に身長は低めで、長い髪をしており、高校一年生にしては幼目の顔をした、美少女が飛び出してくる。
「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!」
「俺はクシャミしてねーぞ」
「まあ、細かい事は気にするな、兄者よ」
どこぞの大魔王の様に登場した少女は俺の妹様である。
文武両道、超美少女、性格も良く、この様にフレンドリー?(ただ頭がおかしいだけかもしれない)でオタクの俺とも話が合う、モテない筈が無い。
だと言うのに、不登校のどうしようもないお兄ちゃんの俺を何故か好いてくれている。
妹として、俺以外のもっとちゃんとした男の人と付き合って幸せになって貰いたいものなのだがな。
「今日は何をしているの?」
「久しぶりにスーパーマ○オブラザーズをやろうと思ってな、攻略中だよ」
「超マ○オ兄弟だって!」
「日本語にするな」
さり気なく、俺がゲームしている横によっと腰を下ろす。
その瞬間、焼きたてのトーストの様な良い匂いがする。
紅葉は兄弟なんだから、そう言う事考えちゃいけないと分かっているのに…。
「でも、マ○オって友達とみんなでわちゃわちゃしながらやるのがおもろいんじゃん。なんで一人でやってるの?」
「俺にそれをする友達がいると思うか?」
「マルマルさんがいるじゃん」
マルマル、俺がやってるオンラインゲームの一番友達で素顔は見た事が無い。
しかし、ゲーム内のチャットでおすすめのエロ本やら、オンラインで女の子が当たった時にセクハラしている所を見るにやばいおっさんである。
「誰が好き好んであんなおっさんと」
「分からないよ。可愛い女の子かもよ」
「無い無い」
「じゃあ、可愛いおじさんかもしれないよ?」
「どっちにしろおっさんじゃねえか!」
紅葉のボケに気を取られ、いつもの癖でつっこんでしまい、青のオーバーオールを着た、赤い帽子のおじさんが、深い穴へ落ちてゆく。
「ありゃーマンマミィア!」
「死んだ事をマンマミィアで表すのやめてくれ」
「じゃあ私もやろうかな?」
そう言い、自分の部屋から可愛らしい絵のついたコントローラを持って来てテレビに繋げる。
すると、緑色の帽子のおじさんが現れる。
「ルイージだ。いつ見ても二人とも似てるね」
「兄弟だからな」
「私達と一緒だね。いやでもちょっと違うか……」
そう言うと、耳に口を近付けてコソコソと喋りかけて来る。
「私達は性別も別だし、血が繋がってないから一緒に出来ちゃうね」
「なっ、お前何を言って!」
「じゃあ、しよっか」
「するってお前、俺たちは血は繋がってないけど、兄妹だからそういう事は駄目だって」
妹はニヤニヤしてこちらを見ている。
またこいつは俺の反応を楽しんでやがる。
「何を言ってるのにお兄ちゃん、ゲームをするだけだよ」
この時俺は、こいつをいつか殺してやると決めた。
「「うおーー!!!」」
この後、徹夜して二人で全クリした。
プチ話
紅葉「マリオって一番の戦犯って毎回連れ去られるピーチだよね」
或斗「確かに」