表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妹様はおにーちゃんを惚れさせたい  作者: 御霊流空
妹様はおにーちゃんを惚れさせたい
2/11

一日目「妹様はおにーちゃんを惚れさせたい」

 薄暗い部屋、辺りにはいつ着たかも分からない服が散漫し、食べ終わったカップ麺がテーブルに置かれている。

 そんな汚部屋からは、カチカチとボタンを押す音と、テレビの光が灯っている。


「ふぁ〜、今何時だ? 確かゲームを始めて3時間くらいか?」


 髪は長めでボサボサしており、ゆるゆるの黒色のジャージを着た男は大きなあくびをする。

 時計に目をやると時計の針は6時を指していた。


「もう6時か…そろそろあいつが帰ってくる頃だな」


 ドンドンドンドン!!!っと普通に生きていたら、聞かないであろう、騒音と揺れが部屋に届いてくる。


(噂をすれば……)


 ガンッと、扉が吹き飛び、それと一緒に少し幼目の整った顔をした、少女が飛び出してくる。


「兄者よ、頼もー」

「……」


 兄者と呼ばれる男、丸山或斗(まるやまあると)は呆れた顔で少女を見ている。


「おい、紅葉…毎度の如くだが、ドアを吹き飛ばすのは辞めてくれるかな」

「お兄ちゃんよ、大丈夫だ。

 次のコマでドアは元通りになるから」

「ここはギャグ漫画の世界じゃねーよ!」


 ドヤ顔の幼目の少女、丸山紅葉(まるやまもみじ)は腕を組み、楽しそうに喋る。


「いつにも増して、ナイスツッコミ」

「やりたくてやってる訳じゃない」


 この2人は兄弟である、だがしかし兄弟であって兄弟ではない。

 何を言っているんだ、と思われるかもしれないが、そのままの意味である。


ーーー


 この物語の始まりは丁度、一年前の夏。高校一年の或斗と中学三年の紅葉がリビングで座ってテレビを見ていた時である。


『見てこれ、10年来の片思いの末の結婚だって素敵だね』


 テレビで結婚の話題が出たので、紅葉がそれに反応したのがきっかけだった。


『俺には結婚なんて無縁だな』

『確かに、お兄ちゃんじゃ無理だね』

『おい、自分で言ったけど、俺だって傷つくぞ』

『あははは、じゃあ私がお兄ちゃんと結婚してあげようか?』


 最初は冗談で言ったつもりだった。

 いつもの様に紅葉が或斗を煽るだけで終わると思っていた。


『兄弟同士で結婚出来る訳ーー』


 或斗の言葉を遮る様に、リビングで晩御飯を作っていたお母さんがぽつりと呟く。


『出来るわよ』


 その言葉に2人は一瞬思考が停止する。

 お母さんが何を言っているの分からず、沈黙が流れる。


『どう言う事?』

『あれ? 言ったこと無かったかしら…あなた達、血が繋がってないから結婚出来るのよ』


その言葉が追い討ちを掛けるように、2人の脳内は破壊される。


(俺が紅葉と血が繋がっていない?)

(私、お兄ちゃんと兄弟じゃないの?)


『あなた達が小さい時にお父さんと再婚してね。

 或斗はお父さんの連れ子で紅葉は私の連れ子よ』


 そう、2人は兄弟であって兄弟では無いのである。

 それを教えて貰った瞬間に紅葉の頭の中ではある結論へと辿り着く。


(お兄ちゃんと結婚……)


 そこから妹、紅葉によるお兄ちゃんと結婚作戦が始まったのである。


ーーー


 そして現在へと戻る。

 ドアを突き破り、部屋に入って来た、ブラコン妹と不登校の兄が見つめ合う。


「一年前から、なんかお前変だぞ」

「私はお兄ちゃんと結婚をするからね」

「だから、しねえって言ってるだろ!

 それにそもそも付き合った事もねえだろ!」


 紅葉は何か心の中に刺さった感覚が走る。

 ど正論を突かれて、何も言えず効果バツグンのようだ。


「うぅ…お兄ちゃん、私は遊びだったと言うの!」

「遊んでねえよ!」


 目をうるうるさせ、上目遣いで見られ、恋愛経験の乏しい或斗は顔を赤らめる。

 或斗も或斗で、一年前、血が繋がっていないと言われてから、少し紅葉を女子として意識してしまっているせいである。


「とにかく、俺はお前を恋愛対象して見れない。

 だから結婚はしない」


 紅葉はぷくーっとほっぺを膨らませ、或斗を睨み付ける。

 そして、覚悟を決めた。


「分かった。一年もこんなに言ってるのにそう言う事言って。ぐぬぬぬぬ!」


紅葉は或斗へと指を向ける。

 いつものふにゃふにゃした様子が見られない。


「私、お兄ちゃんを惚れさせる」


「惚れさせて、絶対に結婚してやる」


 或斗と紅葉は見つめ合う、紅葉の真剣な眼差しに、本気でそう思っている事が感じられる。


「晩御飯できたわよ!!」


 遠くからお母さんの声が聞こえてくる。

 ドアが吹き飛び、ガラ空きだからである。


(俺の部屋、プライベートもクソもねえな……)


「はーい! ママ!」


さっきまであれだけ真面目に言っていたのに、ご飯が出来たと聞くと、そう言い、部屋から出ようとする。


「あっ!」


 紅葉は何かを思い出したかのように、くるりと振り返り、ウインクする。


「覚悟しといてね」


それだけ言い、階段を駆け下りていく。

 或斗は嵐が過ぎ去ったかのように立ち尽くす。


「覚悟しておけか…騒がしくなりそうだな」


 少し笑いながら、或斗も下へと下りていく。

 ここから始まる、ブラコン妹のお兄ちゃんを惚れさせる為の恋愛(たたかい)が……。


※この日の晩、紅葉がこっそりと或斗のベッドへ忍び込み、家族会議になりました。

読んで頂き有難う御座います。

これからこの2人を軸に日常系、おふざけ恋愛物語を書いていこうと思います。

学生で忙しいので毎日投稿出来ないかもしれないけれど頑張ります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ