eyes:0 天翔 零から、お願いとお約束
最新話から来てくれた方。大丈夫です。ここで合ってます♪
「そんなバカなっ!キミなんかに……この僕が負けるなんて!」
男は自分の敗北が信じられないという顔をしながら、膝からガクッと崩れ落ちた。
傲慢で他人を見下し利用して生きてきたこの男にとって、自分が負けるなどあり得ない事なのだ。
だからこそ、その男は膝をついたまますぐにサッと相手を見上げ、苦渋に満ちた眼差しで相手を強く睨む。
しかし、相手は動じない。
むしろ余裕の笑みを浮かべ、その男の事を上からニヤリと見下ろしている。
瞳から妖しい真紅の輝きを放ち、全てを圧倒する絶対的強者のオーラを溢れさせて。
「甘いんだよ!本気で俺に勝てると思ったのか?まったく……めでたいヤツだな♪」
「キ、キサマ……!」
「ったく、そんな目で睨んでもムダだぜ。オマエが俺に勝てる訳がねーだろ」
「な、なんだと?!僕が……この僕が、キミなんかに負けるハズがないんだ!」
自分より格下だと思っていた相手に負けた事を、男は未だ受け入れられず激昂した。
けれど、相手は顔に哀れみを湛え男を嘲笑う。
「ハッ、もう分かってんだろ?オマエが相手にしていたのは、オマエが知ってる俺じゃない……『悪魔の瞳』を持つ男、『天翔 零』なんだよ」
「くっ……!けど、このままでは終わらせない……」
男は屈辱を押しのけるようにググッと立ち上がり、怒りと憎しみに満ちた瞳で零をキッと睨みつける。
「零、僕にここまでの屈辱を与えたキミを……僕は絶対に許さないっ!!」
煮えたぎる怒りと憎悪をぶつけてくる男に対し、零はメンドクサそうにスッと横顔を向けて吐き捨てる。
「チッ、勝手にしやがれ……」
「はーい、カット!お疲れ様でしたー♪」
「いやーー監督、俺あんな目すんのマジで疲れましたよー」
「お疲れさん。いー演技だったじゃん♪特に、あの横目のアドリブとか、マジでスゲーって。男の俺でも、惚れそうになっちゃったぜ♪」
「いや、監督のお陰です。それに、突然の無理聞いてくれてありがとうございます!」
サッと頭を下げた零に、監督はニカッと笑った。
「いいんだよ♪第一章は恋愛パート多めだから、零くんの言う通り先に見せ場の一つぐらい持ってきた方が、読者様に安心してもらえるんだからさ」
「監督……!」
零は監督に感謝の眼差しを向けて見つめていたが、そこでハッと気付いた。
「あっ……監督すいません。そろそろ開演なんで、ちょっと読者樣に挨拶してきていいですか?」
「おー、もうそんな時間か。いいよ、行ってきな」
「ありがとうございます!」
テッテッテッテッテッ……
「えー、始めまして。この物語の主人公、天翔零です。ここに来てくれて、ありがとうございます!今から始まる前に、読者様に僕から一つお願いと、逆にお約束があります」
零は、ちょっとマイクを確かめた。
「一つ目は、この小説、なろうとはちょっと系統が違うんですけど、温かく見守ってほしいって事です。なろうの王道もいいんですけど、やっぱり自分は強力な敵とかいて苦戦しても、最後には圧倒的に勝つっていうストーリーが好きなんです」
そこまで言って、零はコホンと咳払い。
「で、二つ目なんですけど、これは約束です。読んで損はさせません。ただ、対象年齢はちょっと上かなーー。逆に三、四十代辺りの男性はケッコー楽しめると思います♪こんな事あったらいいなっていう物語なんで」
零がそこまで話した時だった。
「おーい、零。まだかー?」
少し離れたところから零を呼ぶ男の声がした。
「あっ、すいません。呼ばれちゃった。あー、今僕の事呼んだ彼は、もうひとりの主人公です。詳しくはまだ言えないんですけど、僕の魂の半分は、あのもうひとりの主人公『空見 翔』で出来てるんです。まっ、これ以上はまだ内緒で♪」
零は、しぃーっと内緒のポーズを取ってから、この話の締めに入る。
「僕が出てくるのは第二章から。いやー、かなりキツい性格を演じなきゃいけないんですけど、僕一生懸命演じるんで、宜しくお願いしますっ!」
「おい、零!もう、時間ねーって!」
「分かったよ、翔。もー行くから!」
「じゃ、すいません。ちょっと行ってきます!」
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