彼女は騎士ごっこがやめられない

女子寮に変な噂なんてないの！

無事リリーもオリビアも合格し、寮に入ることになった。部屋は2人部屋。リリーと同室である。部屋割り希望は割と通るらしい。辞められるよりは良いということであろう。

部屋割りに伴う悲喜交々はあるらしい。

玄関と廊下では喚声と悲鳴が聞こえる。

硬い床を踏み締めて歩く。

「あなたがオリビアね。隣室のリコリスです。噂より普通の人でほっとしました」

「噂？」

「通り魔オリビア。道で会う帯剣している人物には手当たり次第勝負を挑む。左手の人差し指をさすっては、『今宵も血に飢えて居る』とつぶやき、橋を塞いでは強者を求める。いずれ武家の令嬢に退治されたとか、しないとか」

「退治されちゃったよ！　なんか色々混ざってない？」

「血に飢えた獣は、令嬢の愛で美しい少女の姿を取り戻すの！」

「カンペキにファンタジーじゃないの！」