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八つ当たりに近いんじゃないの!
「審判殿、試験官殿、寸止め方式でなくギブアップ方式を選択します」
……あまり、目立ちたくないんだけど。
「大丈夫。上手くやります」
青空。
会場のざわめき。
芝生の匂い。
各種急所に軽い一撃。
3回投げ飛ばして、関節技でギブアップを取った。
「ダイア。超目立っているんだけど」
……ルール通りに、ふだんのオリビアの力の通りです。試験で幸運にも普段以上の技術が出たのでしょう。そういうことにしましょう。
「くそぅ」
「あの! ありがとうございました! あれ、私のためにして頂いたんですよね」
「いやあ、普通に試験受けただけだよ」
「私、ソフィアって言います。よろしくお願いします」
……良い動きでした。殴られた時も上手く力を逸らしてました。
「そうなのか……。それでもあそこまでやったのか」
……通常の試合です。
青空に白い雲。
喧騒の中の喚声。
靴に擦れた芝の匂いが、風に舞っていた。